君の隠し事
翌日。

私は、授業中も、何度もスマホを確認した。

彼からの連絡はない。

放課後になっても、届かない。

女子サッカー部の練習が始まっても、集中出来なかった。

ボールを蹴る度に、彼のことが頭に浮かぶ。

今、手術室にいるのかな。

痛くないかな。

怖くないかな。

練習が終わる頃、空はすっかり暗くなっていた。

私は校門の前で立ち止まり、スマホを握りしめる。

そのとき。

通知がなった。

彼からだった。

『 終わった』

私はすぐに返信した。

「どうだった?」

既読は着いた。

でも、返信はない。

数分後。

ようやく届いたメッセージを見て、私は息を止めた。

『 先生に、もうサッカーは無理かもしれないって言われた。』

画面が滲んだ。

何度も瞬きをする。

それでも、文字は消えなかった。

私は、震える指で返信を打った。

「それでも、私はそばにいる」

返信してから、すぐに後悔した。

こんな言葉で彼を救える訳じゃない。

サッカーが出来なくなるかもしれない苦しさを、私が代わってあげられる訳でもない。

それでも、他に言葉が見つからなかった。

しばらくして、彼から返事が来た。

『 本当に?』

「本当」

『 サッカーができなくても?』

「できなくても」

少し間が空いて、また通知が届く。

『 じゃあ、退院したら会いたい』

私は、涙を拭いながら笑った。

「うん。会おう」

その約束が、彼にとってどんな意味を持つのか。

このときの私は、まだ分かっていなかった。

彼が隠していた秘密は、怪我だけではなかった。

そして、退院した彼が私に伝えようとしていたもうひとつのことが、

私たちの未来を大きく変えることになる。




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