イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
悠生が静かに口を開く。

「朝比奈、おまえも言いたいことあるなら言えば」

その言葉に、紬の心臓が跳ねた。

湊はしばらく何も言わなかった。
視線を落として、拳を握って、何かを耐えるみたいに黙っている。

やがて、かすれた声が落ちる。

「あるよ」

紬は息をのむ。

「でも、今ここで言うのは違う」

悠生が少し眉をひそめる。

「違わないだろ。言わないと取られるかもよ」

その言葉は挑発みたいだった。
けれど、たぶん本心でもあった。

湊はゆっくり顔を上げる。
その目はもう、逃げていなかった。

「取られたくない」

紬の胸が強く痛む。

「ずっと、そう思ってる」

教室の真ん中で、とうとうその本音が落ちた。

「白石が誰かに好きって言われるのも、隣に立たれるのも、笑いかけるのも、全部平気じゃない」

紬の目に涙がにじむ。

「でも、ちゃんとした形にしたくて待ってた」

声が少し震えていた。
それでも湊は、目をそらさなかった。

「だけどもう無理かもしれない」

そのひと言に、紬は思わず一歩近づいた。

湊は続ける。

「待ってるあいだに、白石が誰かのものになるの、耐えられない」

もう、胸がいっぱいだった。
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