イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
図書室を出るころには、外はもう夜になっていた。

廊下の窓に映るふたりの影は、前よりずっと近い。
それでもきっと、これから先も簡単なことばかりじゃない。

すれ違う日もある。
寂しい夜もある。
うまく言えなくて傷つける日だって、たぶんある。

でも、もう大丈夫だと紬は思えた。

会えない夏も。
距離を置かれた日々も。
ライバルに揺れた教室も。
全部を越えて、それでもこの人が好きだと知っている。

好きは、楽しいだけじゃない。
苦しくて、こわくて、泣きたくなる。
それでも隣にいたいと思えるなら、きっとそれが恋なんだと思う。

湊が歩きながら、そっと紬の手を引く。

「送る」

短いそのひと言に、紬は笑ってうなずいた。

もう前みたいに、触れそうで触れられない距離じゃない。
ちゃんと名前があって、ちゃんと想いが届く。

そして紬は、隣を歩くぬくもりを確かめながら思った。

この甘い初恋を、きっと何度でも好きになる。
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