君の涙は春になる。

第二章

六月に入るころ、紬は朝比奈湊と過ごす放課後に、少しずつ慣れてきていた。

教室では前ほど話さない。
けれど、まったく話さないわけでもない。
目が合えば小さく笑って、プリントを回すときにひと言だけ交わす。
そんなささやかなやりとりがあるだけで、その日一日がやわらかくなる。

放課後になると、ふたりは自然と図書室か駅までの道で会った。

約束をしたわけではない。
毎日必ず一緒というわけでもない。
でも、会える日にはちゃんと会えた。
それが紬には、奇跡みたいに思えた。
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