君の涙は春になる。
紬も、無理には聞けなかった。
聞いてしまえば、この静かな時間が壊れてしまう気がした。
まだ踏み込んではいけない場所が、彼の中にはある。
そうわかってしまったからだ。
それでも、少しだけでも支えになりたかった。
「なくしたものって」
紬は慎重に言葉を選ぶ。
「戻らなくても、新しくできることもあるよ」
湊がゆっくり紬を見る。
「たとえば?」
「……帰り道が楽しみになるとか」
言いながら、顔が熱くなる。
遠回しすぎて、でも遠回しでも十分すぎるくらい気持ちがこもっていた。
湊はしばらく何も言わなかった。
その沈黙が長く感じられて、紬は失敗したかもしれないと思う。
けれど次の瞬間、湊はかすかに笑った。
「それは、もうできてる」
紬はもう何も言えなかった。
雨の日の公園。
夕方の薄暗い光。
濡れた風のにおい。
その全部が、胸に残る。
きっとこの瞬間を、ずっと忘れないと思った。
聞いてしまえば、この静かな時間が壊れてしまう気がした。
まだ踏み込んではいけない場所が、彼の中にはある。
そうわかってしまったからだ。
それでも、少しだけでも支えになりたかった。
「なくしたものって」
紬は慎重に言葉を選ぶ。
「戻らなくても、新しくできることもあるよ」
湊がゆっくり紬を見る。
「たとえば?」
「……帰り道が楽しみになるとか」
言いながら、顔が熱くなる。
遠回しすぎて、でも遠回しでも十分すぎるくらい気持ちがこもっていた。
湊はしばらく何も言わなかった。
その沈黙が長く感じられて、紬は失敗したかもしれないと思う。
けれど次の瞬間、湊はかすかに笑った。
「それは、もうできてる」
紬はもう何も言えなかった。
雨の日の公園。
夕方の薄暗い光。
濡れた風のにおい。
その全部が、胸に残る。
きっとこの瞬間を、ずっと忘れないと思った。