イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
「みなとー」

澪が声を上げると、奥の部屋から足音がした。

「澪、勝手に走るなって……」

言いかけた湊が、紬を見て止まる。

「……白石?」

驚いた顔。
少し疲れて見える目。
部屋着のラフな姿。
学校では見ないその全部に、紬の心臓が強く跳ねた。

「ご、ごめん。たまたま弟くんに会って」

「俺が連れてきた」

澪が先に言う。
湊は額に手を当てて、小さく息をついた。

「おまえな……」

「だめだった?」

そのひと言に、湊は何も言えなくなったみたいだった。
数秒の沈黙のあと、彼は紬を見た。

「ごめん。びっくりしただけ」

「迷惑だったら帰る」

「違う」

すぐに否定する声が、少しだけ強かった。
そのあとで湊は視線をやわらげる。

「来てくれて、うれしい」

そのひと言だけで、紬は来てよかったと思った。
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