イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。
ゼリーを食べ終えた澪は、急に元気になったみたいに学校の話をし始めた。
隣の席の子がうるさいこと。
図工で作った船が先生に褒められたこと。
運動会でリレーの選手になれなかったこと。

湊はその話を聞きながら、相づちを打ち、麦茶を足し、薬を飲んだか確認していた。
ひとつひとつの動きが自然すぎて、見ているだけで胸が苦しくなる。

きっと毎日こうなのだ。
弟を気にかけて、家のことをして、自分のことは最後に回している。

「みなと、今日ずっといたからね」

澪がぽろっと言う。

「朝ごはんも作ってくれたし、洗濯もしたし、おれの宿題も見た」

「澪」

今度の湊の声は少しだけ低かった。
止めたいのだと、すぐにわかる。

けれど澪は気づかない。

「あと、お母さん帰ってくるまで起きてるって言ってた」

紬は息をのんだ。

お母さんは遅い。
昨日の電話でもそう言っていた。
今日もきっと同じなのだろう。
< 37 / 118 >

この作品をシェア

pagetop