君の涙は春になる。
駅に着くころ、紬は少しだけ落ち着いていた。

「……ごめん」

「何が」

「泣いたから」

「別に」

「困るでしょ、普通」

「困ってない」

湊はそう言って、改札のほうを見た。
それから、少し迷うようにして口を開く。

「また、つらい日があったら」

紬は息を止めた。

「俺に言って」

やさしい声だった。
特別な言い方ではなかった。
でも、その何気ない一言が、ひどく胸に残った。

紬は小さくうなずく。

「……うん」

その日からだった。
世界の色が、少しだけ変わって見えるようになったのは。
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