君の涙は春になる。
第一章
あの日から、朝比奈湊は少しだけ特別な存在になった。
教室では相変わらず、彼は静かだった。
休み時間に騒ぐこともなければ、誰かの輪の中心にいることもない。
けれど、完全にひとりというわけでもなくて、話しかけられればちゃんと答える。
やさしいのに近寄りがたい。
そんな不思議な空気を持っていた。
紬は、自分の席から何度か彼を見てしまうようになった。
見ようとしているわけではないのに、気づけば目で追ってしまう。
窓際の後ろの席。
頬杖をついて外を見る横顔。
ノートに文字を書く長い指。
先生に当てられて立ち上がるときの、少しだけ眠たそうな目。
教室では相変わらず、彼は静かだった。
休み時間に騒ぐこともなければ、誰かの輪の中心にいることもない。
けれど、完全にひとりというわけでもなくて、話しかけられればちゃんと答える。
やさしいのに近寄りがたい。
そんな不思議な空気を持っていた。
紬は、自分の席から何度か彼を見てしまうようになった。
見ようとしているわけではないのに、気づけば目で追ってしまう。
窓際の後ろの席。
頬杖をついて外を見る横顔。
ノートに文字を書く長い指。
先生に当てられて立ち上がるときの、少しだけ眠たそうな目。