君の涙は春になる。
あの雨の日のことがなければ、きっとこんなふうに意識することはなかった。

「白石さん、ここ違うよ」

隣の席の真帆に言われて、紬ははっとした。
英語のプリントの答えが、途中からずれていた。

「ご、ごめん」

「珍しいね。ぼーっとしてた?」

「ううん、そんなことない」

否定した瞬間、真帆がにやっと笑う。

「もしかして朝比奈くん見てた?」

「見てない」

即答すると、今度は自分でも不自然なくらい早かった気がして、余計に恥ずかしくなった。

「はいはい」

真帆は楽しそうに笑っただけで、それ以上は言わなかった。
助かったような、見透かされたような、落ち着かない気分になる。
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