イケメン男子は、天然美少女を一途に溺愛中。

第十二章

長かった夏休みが終わって、二学期が始まった。

久しぶりの教室は、まだ夏の名残が強かった。
窓の外の光は明るいのに、教室の空気はどこか落ち着かない。
休み明け独特のざわめきが、朝からずっと続いていた。

紬は席についてからも、何度も前の扉のほうを見てしまった。

今日、会える。
当たり前のことなのに、それだけで胸が苦しい。

夏のあいだ、手紙は何通も交わした。
言葉はあった。
想いもたしかにあった。
でも、実際に顔を見るのは久しぶりだった。

文字では伝わるものと、伝わらないものがある。
だから今朝は、手紙ではごまかせていた緊張まで全部戻ってきていた。

やがて教室の扉が開いて、湊が入ってくる。

その瞬間、紬の呼吸が止まりそうになった。

夏休み前と同じ制服姿。
少し伸びた前髪。
相変わらず静かな目。
でも、手紙の中で何度も触れた人が、ちゃんと目の前にいる。

湊も、席へ向かう途中で紬を見た。
ほんの一瞬。
でもたしかに目が合って、そのあと小さく笑った。

その笑顔だけで、紬は泣きそうになった。

会いたかった。
ほんとうに、会いたかった。
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