精霊に愛された少女は、最強魔術師に見つかった
「私の婚約者 ②」
私がジャイミー様と婚約を結んでいるという事実は比較的、周りに知られていることでもある。
ハウレワは私をみじめな気持ちにさせたがっている。それもあって、私の婚約者である男性が自分に夢中なことに優越感を感じているらしかった。それにジャイミー様としては、あくまで形式上の婚約者であるという主張をしたいのは分かる。
ジャイミー様は私と婚約関係であることを恥だとお思いだ。
この婚約関係は最初から破綻しているものだった。
昔は違ったけれど今は……なんていう関係ならば誤解が解ければ元に戻るなんてことがあるかもしれない。でも、そもそも始まってさえもいない。
ハウレワにとっては大事な昔からの幼なじみ。でも私にとっては違う。
……私の世界は、私の不幸を望む人たちしかいなかった。そのことをこれまで気にしてこなかった。
当たり前だったから。
でもそう、ソルベシア様と秘密の会話を交わすようになってから誰かと話す楽しさを知ってしまった。
そのせいで少しだけ何とも言えない気持ちになってしまった。
私が楽しく生きるのは、自由を得てからだってそう思っていたのに。自由になれたらやりたいことが幾らでもあるから今は仕方がないって諦めていたのに。
みじめな気持ちを感じて、少しだけモヤモヤしてしまう。
「ごきげんよう、皆様」
お茶会に私が顔を出すと、その場に居た御令嬢達の目がこちらを向いた。他の参加者達が既に着席しているのを見るに集合時間を間違って伝えられていたのかもしれない。
「あら、遅かったわね、パルフィア」
そう言ってハウレワはくすくすと笑った。
ジャイミー様経由で伝えられた時間は間違ったものであったし、それに加えて放課後になった途端用事を申し付けられたりもしていた。
これもある意味ハウレワの嫌がらせと言えるだろう。
「遅れてしまって申し訳ございません」
私がそう言って頭を下げてもハウレワは頭をあげる許可を中々出さない。
この場で一番発言力のあるハウレワが許可を出さないと私は頭も上げにくいので、どうしようかと悩む。
一瞬頭をあげようとしたら、「許可をしていないわ。しばらくそうしてなさい」などと口にされる。
余程虫の居所が悪いようだった。まぁ、このくらいなら特に問題はない。
ハウレワが私をお茶会に呼ぶ時なんて、こうして憂さ晴らしをしたいというそれだけが理由なのだから。
基本的にお茶会なんて華やかな場に、ハウレワは私を出したがらない。
私が目立ったりすることを彼女は望んでいない。私が着飾ってちやほやでもされたら、それこそ激高するだろう。
だからお茶会に連れてこられるのなんて本当にたまにだ。
……向こうは貴族令嬢がお茶会に参加出来ないのはさぞみじめなことなのだろうと思っているようだけど。
正直、そんなものを楽しんだ記憶はないから別に参加出来なかったからといってどうということもない。
「ハウレワ様、昨日のパーティーにはあのソルベシア様もいらっしゃったのでしょう?」
「ええ。……でも冷たくあしらわれてしまって」
ソルベシア様の名を聞いて、顔をあげそうになった。
私の知らないところでハウレワはソルベシア様と遭遇を果たしていたらしい。……そしてハウレワの冷たくあしらわれたという言葉に驚く。
だって私の知っているソルベシア様は冷たい方ではない。
「まぁ、ハウレワ様にそのような態度をするなんて信じられない御仁ですわね」
「やはり隣国では精霊の尊きさを理解しかない方が多いのですね。なんともまぁ……」
……ハウレワの機嫌を取るための言葉だろうけれど、聞き捨てならない言葉だ。
だけど私がソルベシア様のことを語ることなど許されないだろう。それに此処で私がソルベシア様はそんな方ではないといったところで、逆に迷惑をかけてしまうだけだ。
私とソルベシア様が交流を持っていると知ったらハウレワはなんとしてでも近づこうとするだろう。
……隣国は我が国よりは精霊信仰の傾向は、低いらしいことは知っている。とはいえ、精霊を敬う気持ちはあるだろう。
それにいつも会っていた際にソルベシア様は、精霊たちを蔑ろにしたことなど一度もなかった。
「やはり最強の魔術師などと持ち上げられていてもその程度の男なのだと思うよ」
などと言い放つのは、したり顔のジャイミー様である。
……ジャイミー様としては、ハウレワと結婚したいのだろうな。私との結婚なんて向こうも望んでいない。
それにハウレワという特別な存在の伴侶になれればそれだけでも未来は明るいのだと思っていそうだ。
少なくとも私と仲良くしている精霊たちはジャイミー様のことをそれはもう嫌っている。
私が平穏な生活をしたいからと止めなかったらそれこそ大変な報復でもしそうなぐらいには。
そういうのを知りもせずにジャイミー様は自分は信仰深いから精霊に好かれていると思っているらしかった。
ソルベシア様にハウレワが近づくのを嫌がっているのだろうな。ソルベシア様にハウレワを掻っ攫われたくないとそう思って。
ハウレワは私をみじめな気持ちにさせたがっている。それもあって、私の婚約者である男性が自分に夢中なことに優越感を感じているらしかった。それにジャイミー様としては、あくまで形式上の婚約者であるという主張をしたいのは分かる。
ジャイミー様は私と婚約関係であることを恥だとお思いだ。
この婚約関係は最初から破綻しているものだった。
昔は違ったけれど今は……なんていう関係ならば誤解が解ければ元に戻るなんてことがあるかもしれない。でも、そもそも始まってさえもいない。
ハウレワにとっては大事な昔からの幼なじみ。でも私にとっては違う。
……私の世界は、私の不幸を望む人たちしかいなかった。そのことをこれまで気にしてこなかった。
当たり前だったから。
でもそう、ソルベシア様と秘密の会話を交わすようになってから誰かと話す楽しさを知ってしまった。
そのせいで少しだけ何とも言えない気持ちになってしまった。
私が楽しく生きるのは、自由を得てからだってそう思っていたのに。自由になれたらやりたいことが幾らでもあるから今は仕方がないって諦めていたのに。
みじめな気持ちを感じて、少しだけモヤモヤしてしまう。
「ごきげんよう、皆様」
お茶会に私が顔を出すと、その場に居た御令嬢達の目がこちらを向いた。他の参加者達が既に着席しているのを見るに集合時間を間違って伝えられていたのかもしれない。
「あら、遅かったわね、パルフィア」
そう言ってハウレワはくすくすと笑った。
ジャイミー様経由で伝えられた時間は間違ったものであったし、それに加えて放課後になった途端用事を申し付けられたりもしていた。
これもある意味ハウレワの嫌がらせと言えるだろう。
「遅れてしまって申し訳ございません」
私がそう言って頭を下げてもハウレワは頭をあげる許可を中々出さない。
この場で一番発言力のあるハウレワが許可を出さないと私は頭も上げにくいので、どうしようかと悩む。
一瞬頭をあげようとしたら、「許可をしていないわ。しばらくそうしてなさい」などと口にされる。
余程虫の居所が悪いようだった。まぁ、このくらいなら特に問題はない。
ハウレワが私をお茶会に呼ぶ時なんて、こうして憂さ晴らしをしたいというそれだけが理由なのだから。
基本的にお茶会なんて華やかな場に、ハウレワは私を出したがらない。
私が目立ったりすることを彼女は望んでいない。私が着飾ってちやほやでもされたら、それこそ激高するだろう。
だからお茶会に連れてこられるのなんて本当にたまにだ。
……向こうは貴族令嬢がお茶会に参加出来ないのはさぞみじめなことなのだろうと思っているようだけど。
正直、そんなものを楽しんだ記憶はないから別に参加出来なかったからといってどうということもない。
「ハウレワ様、昨日のパーティーにはあのソルベシア様もいらっしゃったのでしょう?」
「ええ。……でも冷たくあしらわれてしまって」
ソルベシア様の名を聞いて、顔をあげそうになった。
私の知らないところでハウレワはソルベシア様と遭遇を果たしていたらしい。……そしてハウレワの冷たくあしらわれたという言葉に驚く。
だって私の知っているソルベシア様は冷たい方ではない。
「まぁ、ハウレワ様にそのような態度をするなんて信じられない御仁ですわね」
「やはり隣国では精霊の尊きさを理解しかない方が多いのですね。なんともまぁ……」
……ハウレワの機嫌を取るための言葉だろうけれど、聞き捨てならない言葉だ。
だけど私がソルベシア様のことを語ることなど許されないだろう。それに此処で私がソルベシア様はそんな方ではないといったところで、逆に迷惑をかけてしまうだけだ。
私とソルベシア様が交流を持っていると知ったらハウレワはなんとしてでも近づこうとするだろう。
……隣国は我が国よりは精霊信仰の傾向は、低いらしいことは知っている。とはいえ、精霊を敬う気持ちはあるだろう。
それにいつも会っていた際にソルベシア様は、精霊たちを蔑ろにしたことなど一度もなかった。
「やはり最強の魔術師などと持ち上げられていてもその程度の男なのだと思うよ」
などと言い放つのは、したり顔のジャイミー様である。
……ジャイミー様としては、ハウレワと結婚したいのだろうな。私との結婚なんて向こうも望んでいない。
それにハウレワという特別な存在の伴侶になれればそれだけでも未来は明るいのだと思っていそうだ。
少なくとも私と仲良くしている精霊たちはジャイミー様のことをそれはもう嫌っている。
私が平穏な生活をしたいからと止めなかったらそれこそ大変な報復でもしそうなぐらいには。
そういうのを知りもせずにジャイミー様は自分は信仰深いから精霊に好かれていると思っているらしかった。
ソルベシア様にハウレワが近づくのを嫌がっているのだろうな。ソルベシア様にハウレワを掻っ攫われたくないとそう思って。