精霊に愛された少女は、最強魔術師に見つかった
「私の婚約者 ③」
ジャイミー様はハウレワの伴侶になりたくて仕方がないのだろう。だってハウレワの伴侶になれなければ、ただのどこにでもいる貴族子息にしかなり得ないから。
……ジャイミー様は、昔からハウレワの幼なじみとして注目を集めていた。だから、そう、そういった視線を受けることがジャイミー様は好きだ。
ハウレワとソルベシア様が良い仲になってしまったら、そんな注目を浴びることが出来なくなってしまうだろう。
私と結婚をしたところで、そういった視線を受けることは無くなってしまうだろう。それにハウレワが遠くに行ってしまうことも嫌がっているのだと思う。
だからこの婚約者は、本来の婚約者である私の傍に居ることは少ない。ハウレワが誰かに取られることを懸念しているからこそずっと彼女の傍に居る。そして余計な男に近づかないように必死に動いているのだ。
「ふふっ、それもそうだわ。私のことを蔑ろにするなんて見る目がないわ。この私が話しかけてあげているというのに」
ハウレワの言い回しは不遜である。どこまでも自分の方が上位の立場であるというのを示している。
自分が誰よりも優先されるべきだとそういう思考なのだろう。
それはこの国が精霊信仰の強い国だから。同じように精霊を特別視している国からしてみればこのような対応になるだろうけれど、そうでない国ではここまで特別扱いはされないだろう。
世界は、広い。
私は、私のように精霊を視ることが出来る人のことを他に知らない。けれどもきっと私が知らない場所では、もっと精霊を視ることが出来る存在なんて沢山居るだろう。
それにしてもいつまで頭を下げていればいいのだろうか。
こうしてただハウレワ達の話を心を無にして聞いているのも何とも言えない気持ちになる。
話題がソルベシア様のことだからこそ余計に嫌な気持ちになっているのだろうな。
この先もハウレワはソルベシア様と関わろうとするのだろうか。そして願わくはソルベシア様とそういう仲になろうとでもするのだろうか。
ソルベシア様は隣国でも最強の魔術師として名高いから、そんな彼とハウレワが結ばれることを望まれる人は多そうだ。
だって魔力の多い子供が産まれれば同じように精霊を視ることが出来る子供が生まれるのではないかと期待されているだろうから。
「でも私は優しいから、もっと話しかけようとは思っているわ」
「まぁ、そうなのですか?」
「なんと、お優しい」
ハウレワに同調する声をあげる者達が本心からこんなことを言っているかどうかは知らない。
おそらく本心じゃなかったとしても、ハウレワの機嫌を損ねたくないから何でも同意はしそうだしなと思ったりもする。
「だって向こうだって私に冷たくしたことを怒られているかもしれないもの。それに私に惚れてもらった方が面白いでしょう? 冷たくあしらってきた男性が、私の愛を乞うなんて素敵だわ」
なんていうハウレワの言葉には、少しだけ不快な気持ちになってしまった。
愛かぁ。
私は恋とか、愛とか分からない。そんなものを考える余裕なんてない。ただソルベシア様が誰かに愛を乞う姿を想像して顔が赤くなりそうになった。
――なんだろう、私自身がそう言った顔を向けられた時のことを考えてしまった。そんな想像をするなんて烏滸がましい。
やっぱり私にとってソルベシア様はすっかり特別になってしまっているのだ。それこそ自分にそう言う感情が向けられたらと想像してしまうぐらいには。
ハウレワとソルベシア様が仲良くなったら嫌だなと勝手に思っているだなんて、ソルベシア様からしてみたらはた迷惑な話だろうけれど。
ただハウレワに夢中になって、それから私がソルベシア様と話す時間が無くなったら嫌だとか、そんな感情が確かに芽生えていた。
それからお茶会の間、私はずっと頭を下げたままだった。
「もう頭をあげたら?」
そう言われながら、ハウレワからぬるくなった紅茶をぶっかけられる。
まだ熱々の紅茶じゃなかっただけましだろうか。なんてそんなことを冷静に考えた。
頭を下げたままの私を見て、ハウレワにとっては良い憂さ晴らしになったのだろう。楽しそうに笑っていた。
それに引き続き婚約者も、馬鹿にするように私の方を見て「本当に醜いな」などと口にした。
その冷たい視線を受けて、婚約関係とはいっても本当に私と婚約者の中には何の情もないなと思った。
婚約者という関係って、様々だと思う。
仲が良い婚約者も居れば、気まずい仲の婚約者もいる。だけれども私とジャイミー様は、まず始まっても居ない。
……きっとこの婚約者関係は、変わらないのだろうな。
……ジャイミー様は、昔からハウレワの幼なじみとして注目を集めていた。だから、そう、そういった視線を受けることがジャイミー様は好きだ。
ハウレワとソルベシア様が良い仲になってしまったら、そんな注目を浴びることが出来なくなってしまうだろう。
私と結婚をしたところで、そういった視線を受けることは無くなってしまうだろう。それにハウレワが遠くに行ってしまうことも嫌がっているのだと思う。
だからこの婚約者は、本来の婚約者である私の傍に居ることは少ない。ハウレワが誰かに取られることを懸念しているからこそずっと彼女の傍に居る。そして余計な男に近づかないように必死に動いているのだ。
「ふふっ、それもそうだわ。私のことを蔑ろにするなんて見る目がないわ。この私が話しかけてあげているというのに」
ハウレワの言い回しは不遜である。どこまでも自分の方が上位の立場であるというのを示している。
自分が誰よりも優先されるべきだとそういう思考なのだろう。
それはこの国が精霊信仰の強い国だから。同じように精霊を特別視している国からしてみればこのような対応になるだろうけれど、そうでない国ではここまで特別扱いはされないだろう。
世界は、広い。
私は、私のように精霊を視ることが出来る人のことを他に知らない。けれどもきっと私が知らない場所では、もっと精霊を視ることが出来る存在なんて沢山居るだろう。
それにしてもいつまで頭を下げていればいいのだろうか。
こうしてただハウレワ達の話を心を無にして聞いているのも何とも言えない気持ちになる。
話題がソルベシア様のことだからこそ余計に嫌な気持ちになっているのだろうな。
この先もハウレワはソルベシア様と関わろうとするのだろうか。そして願わくはソルベシア様とそういう仲になろうとでもするのだろうか。
ソルベシア様は隣国でも最強の魔術師として名高いから、そんな彼とハウレワが結ばれることを望まれる人は多そうだ。
だって魔力の多い子供が産まれれば同じように精霊を視ることが出来る子供が生まれるのではないかと期待されているだろうから。
「でも私は優しいから、もっと話しかけようとは思っているわ」
「まぁ、そうなのですか?」
「なんと、お優しい」
ハウレワに同調する声をあげる者達が本心からこんなことを言っているかどうかは知らない。
おそらく本心じゃなかったとしても、ハウレワの機嫌を損ねたくないから何でも同意はしそうだしなと思ったりもする。
「だって向こうだって私に冷たくしたことを怒られているかもしれないもの。それに私に惚れてもらった方が面白いでしょう? 冷たくあしらってきた男性が、私の愛を乞うなんて素敵だわ」
なんていうハウレワの言葉には、少しだけ不快な気持ちになってしまった。
愛かぁ。
私は恋とか、愛とか分からない。そんなものを考える余裕なんてない。ただソルベシア様が誰かに愛を乞う姿を想像して顔が赤くなりそうになった。
――なんだろう、私自身がそう言った顔を向けられた時のことを考えてしまった。そんな想像をするなんて烏滸がましい。
やっぱり私にとってソルベシア様はすっかり特別になってしまっているのだ。それこそ自分にそう言う感情が向けられたらと想像してしまうぐらいには。
ハウレワとソルベシア様が仲良くなったら嫌だなと勝手に思っているだなんて、ソルベシア様からしてみたらはた迷惑な話だろうけれど。
ただハウレワに夢中になって、それから私がソルベシア様と話す時間が無くなったら嫌だとか、そんな感情が確かに芽生えていた。
それからお茶会の間、私はずっと頭を下げたままだった。
「もう頭をあげたら?」
そう言われながら、ハウレワからぬるくなった紅茶をぶっかけられる。
まだ熱々の紅茶じゃなかっただけましだろうか。なんてそんなことを冷静に考えた。
頭を下げたままの私を見て、ハウレワにとっては良い憂さ晴らしになったのだろう。楽しそうに笑っていた。
それに引き続き婚約者も、馬鹿にするように私の方を見て「本当に醜いな」などと口にした。
その冷たい視線を受けて、婚約関係とはいっても本当に私と婚約者の中には何の情もないなと思った。
婚約者という関係って、様々だと思う。
仲が良い婚約者も居れば、気まずい仲の婚約者もいる。だけれども私とジャイミー様は、まず始まっても居ない。
……きっとこの婚約者関係は、変わらないのだろうな。