精霊に愛された少女は、最強魔術師に見つかった
「少しずつ変わっていくこと ④」
「えっと、私は今年十八歳になります。今年で学園を卒業する予定の学生です」
何を話したらいいか分からないままに、自分のことを説明することにした。私自身の基本情報。こんなものを聞いたところでソルベシア様も面白くないのでは? と思わなくはない。
「ソルベシア様がご存じの通り、精霊を視て話すことは出来ます。精霊達とは有難いことに仲良くさせていただいています。あとは……料理や掃除などの家事はそれなりに得意です」
あとは何を言えばいいのだっけ? と思っていたら、ソルベシア様はおかしそうに笑っていた。
「貴族で家事が得意なのは珍しいな」
「必要があったので……」
そう私がいったら、ソルベシア様は納得した様子を見せていた。私の事情を考えるとどうして必要があったのかすぐに分かったのだろう。わざと食事を駄目にされたりとか、そういう被害はそこまでない。まぁ、義母や妹に直接命令をされた時以外は使用人達は敢えて貴族令嬢を害するなどという愚かな真似はしないのだ。ただ食事が用意されなかったり、掃除がされない場合はある。
それに私としては後々家を出たいと思っているので、家事を自分の意思で学んでいた。
「好きな食べ物は?」
「好きな食べ物……スープが好きですね」
昔、お母様が生きていた頃に食べたスープが美味しかったなと思い出す。お母様は産まれながらの貴族ではあったけれど、たまに料理はしていた。
そもそも思い返せばあの頃から使用人達の態度はそこまでよくなかった。お母様が生きていた頃はここまで酷くなかった。義母や妹が居ない頃は、そこまで目に見えて何かされることはなかったしなぁ。
お母様の作ってくれたスープは美味しかった。
レシピは持っているけれど、材料が珍しいものもあったから今は作れない。同じ味を食べたいから自由になれたら材料を揃えて作ろうとは思っている。
「そうか。俺は肉が好きだな」
「そうなんですね」
「ああ。じゃあ、次に普段は何をしている?」
「時間がある時は……本を読んだり、勉強したりしていますね」
「出かけたりはしないのか?」
「そこまで自由に出来るお金がないので」
お母様の形見などは精霊たちの力を借りて隠している。義母や義妹はお母様を連想させるようなものが嫌いだから、すぐに処分したがる。
お母様は何かあった時に宝石などを売ってお金にしていいと言ってくれていた。だから家を出ることが出来たらこれらの宝石を売るつもりではある。ただ精霊たちは「僕らがなんとかするから売らなくていいよ?」なんて軽く言われたけれど。
ただ精霊たちと親しくしていることも公にするつもりもないし、精霊たちに甘えてばかりなのも嫌だからそれは最終手段にするつもりではある。
その状態で現在私に与えられている費用は最低限のもの。ハウレワを優先し、ハウレワが輝くことを第一としている伯爵家で派手なお金の使い方は出来ない。
私が少しでも散財したらきっと怒られることだろう。
私がハウレワよりも良いものを持っていても何を言われるか分からないし。
あまり外出をしないのは、それはそれで「何を遊んでいるの?」と咎められてしまったりするから。
義母も妹も私のやることなすことが気に入らない。彼女達を刺激して、面倒なことになるのも嫌だった。
こうして精霊たちと遊ぶ時はどうにか理由をつけたり、精霊たちの力を借りて事なきを得ているけれど。
「精霊にこれだけ好かれている者にそんな扱いをするなんてお前の周りの連中は罰当たりばかりだな」
「私が隠しているから仕方ないです」
「大々的に言いふらした方が生活しやすそうだが」
「絶対に嫌ですよ。もし知られたら囲われて利用されて、身動き取れなくなってしまいますもの。それに義母やハウレワがどれだけ癇癪を起こすか考えただけでもうんざりします」
「余程、パルフィアの義母と義妹は酷い性格なんだな」
「向こうからしたら、私のお母様の方が割り込んできたという認識ですからね。悪者の娘には何をしてもいいと思っていそうです」
……お父様は元々お母様と結婚する前から義母とは親しい仲だったらしい。いつから恋愛関係になったかは私は知らないけれど、憎々し気に見られたことを考えると随分前からだろう。
お母様だって望んでお父様に嫁いだわけではなく、政略結婚なのだからお互い様だ。
それでも、向こうからしてみればお母様は略奪者らしい。
……一般的に考えれば正妻はお母様だったから、義母が浮気相手でしかないけれど。
ハウレワも私に対するような態度は流石に周りにはしてないし。まぁ、精霊に愛されているからとちやほやされているからかなり我儘には育っているだろうけれど。
「私のお母様、家のこととかでかなり苦労してきたんです。結婚した相手も、あのお父様ですし。婚姻前も婚姻後もずっと大変で、結局亡くなってしまって……そんなお母様は私が楽しく自由に生きることを望んでいたので、私は誰かに利用されたりはしたくないのです」
お母様は、苦労してきた人だった。お母様は実家に居た頃も、嫁ぎ先でも大変だった。
だから、私はやっぱり自分の力は隠したい。……ソルベシア様にはばれてしまったけれど。
何を話したらいいか分からないままに、自分のことを説明することにした。私自身の基本情報。こんなものを聞いたところでソルベシア様も面白くないのでは? と思わなくはない。
「ソルベシア様がご存じの通り、精霊を視て話すことは出来ます。精霊達とは有難いことに仲良くさせていただいています。あとは……料理や掃除などの家事はそれなりに得意です」
あとは何を言えばいいのだっけ? と思っていたら、ソルベシア様はおかしそうに笑っていた。
「貴族で家事が得意なのは珍しいな」
「必要があったので……」
そう私がいったら、ソルベシア様は納得した様子を見せていた。私の事情を考えるとどうして必要があったのかすぐに分かったのだろう。わざと食事を駄目にされたりとか、そういう被害はそこまでない。まぁ、義母や妹に直接命令をされた時以外は使用人達は敢えて貴族令嬢を害するなどという愚かな真似はしないのだ。ただ食事が用意されなかったり、掃除がされない場合はある。
それに私としては後々家を出たいと思っているので、家事を自分の意思で学んでいた。
「好きな食べ物は?」
「好きな食べ物……スープが好きですね」
昔、お母様が生きていた頃に食べたスープが美味しかったなと思い出す。お母様は産まれながらの貴族ではあったけれど、たまに料理はしていた。
そもそも思い返せばあの頃から使用人達の態度はそこまでよくなかった。お母様が生きていた頃はここまで酷くなかった。義母や妹が居ない頃は、そこまで目に見えて何かされることはなかったしなぁ。
お母様の作ってくれたスープは美味しかった。
レシピは持っているけれど、材料が珍しいものもあったから今は作れない。同じ味を食べたいから自由になれたら材料を揃えて作ろうとは思っている。
「そうか。俺は肉が好きだな」
「そうなんですね」
「ああ。じゃあ、次に普段は何をしている?」
「時間がある時は……本を読んだり、勉強したりしていますね」
「出かけたりはしないのか?」
「そこまで自由に出来るお金がないので」
お母様の形見などは精霊たちの力を借りて隠している。義母や義妹はお母様を連想させるようなものが嫌いだから、すぐに処分したがる。
お母様は何かあった時に宝石などを売ってお金にしていいと言ってくれていた。だから家を出ることが出来たらこれらの宝石を売るつもりではある。ただ精霊たちは「僕らがなんとかするから売らなくていいよ?」なんて軽く言われたけれど。
ただ精霊たちと親しくしていることも公にするつもりもないし、精霊たちに甘えてばかりなのも嫌だからそれは最終手段にするつもりではある。
その状態で現在私に与えられている費用は最低限のもの。ハウレワを優先し、ハウレワが輝くことを第一としている伯爵家で派手なお金の使い方は出来ない。
私が少しでも散財したらきっと怒られることだろう。
私がハウレワよりも良いものを持っていても何を言われるか分からないし。
あまり外出をしないのは、それはそれで「何を遊んでいるの?」と咎められてしまったりするから。
義母も妹も私のやることなすことが気に入らない。彼女達を刺激して、面倒なことになるのも嫌だった。
こうして精霊たちと遊ぶ時はどうにか理由をつけたり、精霊たちの力を借りて事なきを得ているけれど。
「精霊にこれだけ好かれている者にそんな扱いをするなんてお前の周りの連中は罰当たりばかりだな」
「私が隠しているから仕方ないです」
「大々的に言いふらした方が生活しやすそうだが」
「絶対に嫌ですよ。もし知られたら囲われて利用されて、身動き取れなくなってしまいますもの。それに義母やハウレワがどれだけ癇癪を起こすか考えただけでもうんざりします」
「余程、パルフィアの義母と義妹は酷い性格なんだな」
「向こうからしたら、私のお母様の方が割り込んできたという認識ですからね。悪者の娘には何をしてもいいと思っていそうです」
……お父様は元々お母様と結婚する前から義母とは親しい仲だったらしい。いつから恋愛関係になったかは私は知らないけれど、憎々し気に見られたことを考えると随分前からだろう。
お母様だって望んでお父様に嫁いだわけではなく、政略結婚なのだからお互い様だ。
それでも、向こうからしてみればお母様は略奪者らしい。
……一般的に考えれば正妻はお母様だったから、義母が浮気相手でしかないけれど。
ハウレワも私に対するような態度は流石に周りにはしてないし。まぁ、精霊に愛されているからとちやほやされているからかなり我儘には育っているだろうけれど。
「私のお母様、家のこととかでかなり苦労してきたんです。結婚した相手も、あのお父様ですし。婚姻前も婚姻後もずっと大変で、結局亡くなってしまって……そんなお母様は私が楽しく自由に生きることを望んでいたので、私は誰かに利用されたりはしたくないのです」
お母様は、苦労してきた人だった。お母様は実家に居た頃も、嫁ぎ先でも大変だった。
だから、私はやっぱり自分の力は隠したい。……ソルベシア様にはばれてしまったけれど。