霧を払ってくれたあなたは、きっと分かっている。
いいなそういうの。

と心の中でそう思った。

私の周りにもそういう人がいないってわけでもないけれど、そういう関係は、正直羨ましい。

「あっごめんごめん。昔を思い出しててつい」

「い、いえ大丈夫です」

閑さんは急にハッと我に返ったように、ごめんねーと申し訳なさそうに私に言ってきた。

別に昔の事を思い出すのは、それだけ素敵な思い出があるってことだ。

私もおばあちゃんになったら閑さんみたいに、昔の思い出に耽ることがあるのかな。

「えーと、霧美ちゃんって霞ちゃんのこと聞きにきたのよね」

そうだった、つい昔話で本来の目的を忘れてしまっていた。

「でも、なんで霞ちゃんのことを…」

「あーそれは…」

「なに?」

キョトンとした顔で、理由を閑さんは聞いてくる。

これはなんて答えるのが、正解だろうか。

お父さんの時みたいに、信じてもらえるか不安だし霞さんと会ったからってことは伏せておいたほうがいいだろう。

閑さんの質問に対して、答えようとしたその瞬間。

「いいよ」

そんな声が突然頭に響いてきた。

私は、誰かがほかにいるのかと思い、なんだなんだと辺りを見渡すがここには、私と閑さんしかいない。


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