もう戻れない
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晃「じゃあ藤吉さんと法戸くんは外れるね。にしても法戸くん、よく気づいたね」
「法戸くんしか分かってないみたいだから、他のみんなにはバレてないと良いけど」
タクシーの中で話すことじゃない話題だけど、二人身を寄せて、情報交換をする。運転手さんはさすがに関係のない人かもしれないけど、目的地まで運転してもらうのはやめた方が良いという晃輝の意見で、森に入る手前で降ろしてもらうことにした。
森から別荘までは、澤村さんに頼んで迎えに来てもらう。警戒している人だけど、徒歩で深い森に突っ込む勇気はない。それに頼んだら、快く引き受けてくれたし。
晃「バレてるだろ。法戸くんしか絶対に装填できない環境だったかも分かんないわけでしょ?」
「分かんない。弾が入ってる倉庫でもあれば、鍵は法戸くんしか持ってないから無理だけどね」
晃「それは聞かなかったの?」
「聞くの忘れた」
晃「本当そういうとこ…。抜け方まで、兄貴そっくり」
「へへ…、ごめん」
〝へへじゃねぇよ〟と軽く頭を小突かれる。こういう怒り方は、秀くんとは違った。秀くんは〝仕方ないな…〟と私を怒ることはあまりなかった。晃輝は姫と崇める影宝会とは真逆で、沙和として接してくれる。私にとっても、これくらいラフに来てくれる方が気楽だった。自然と隣にいられるのも、それが理由かもしれない。
晃「まぁでも、法戸くんが弾の管理をしてることはみんな知ってるんだから、それを分かってて法戸くんに罪を着せてる可能性も、俺は捨て切れないな」
「うん、そうかも」
晃「澤村さんに思い切って聞いてみるのもありだと思うけど、沙和さんはどう思う?」
「うーん…。みんなを疑ってるとは伝えてるし、それとなく聞いてみたいかな」
二人の意見が一致したところで森に入る手前で車は停まり、近くにあった黒のワンボックスカーに乗った。
澤「お久しぶりです」
「忙しいのに、ごめんなさい」
澤「そんなこと言わないでください。姫を守ることが、俺らの役割ですから」
「もうそれ良いって…」
一番怪しいと、私も晃輝も警戒している澤村さん。バックミラー越しにこちらを窺っているのが見えて、私たちの動きを探られているのを実感する。お互いに警戒していては、話はまともにできない。
晃「沙和さん」
肘で小突かれて隣を見ると、眉をピクッと上げて目線だけを澤村さんに向けた晃輝。それは私から澤村さんに話を聞けということ?そこは晃輝が切り出してくれるんじゃないの?