京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 たまっている洗濯物を洗い、部屋は窓を開けて掃除機をかける。空気の入れ替えをすれば気持ちよくなるだろう。
 浴槽も綺麗に洗い、ピカピカにする。伊織が浴槽に浸かりたいと言ったらすぐにお湯を入れられるようにしておいた。
 冷蔵庫の中は調味料などは入っているが、食材がないので寂しい。どうするか考えるが、どちらにせよ家事を任されたのだから、買い物に行って食材を足すことにした。

「伊織さん、近所のスーパーに行ってくるね」
「助かるわ、頼むで」

 家主の許可を得て、鍵を預かる。バッグを掴み寧々は家を出た。

 スーパーに着き、鮮魚とお肉、野菜に果物を次々カゴに入れる。バランスのよい献立を考えなければ。ほかに必要そうな食材をカゴに入れたはいいが、けっこう重たくなってきたので買いすぎか悩む。
 でも、寧々が今日買い物しておけば伊織は数日買い物に来なくて済むと考えると、やはり買っておいた方がいいという結論に至った。
 伊織は仕事中だから、糖分はあった方がいいかもしれない。チョコレートとガムをカゴに入れ満足する。

 お会計をすると一万円近くいってしまった。やはり買いすぎたかと思うが、これも伊織の生活をサポートするためなのだと思い直し、マンションまで帰る。

 預かった鍵でエントランスを抜け、家まで帰ると伊織はまだ仕事中のようだった。「ただいま」と声をかけたら「おかえり」と返ってきたので、寧々は部屋をノックして開けてもらった。

「寧々、おかえり。どうしたん?」
「ただいま。伊織さん仕事してるから甘いものがいいかなと思ってチョコ買ってきたよ。はい、どうぞ」
「わざわざ俺のために? おおきに」

 個包装になっている大袋タイプのチョコレートを伊織に渡した。ついでにガムもそっとつけておく。

「今から夜ご飯を作るから少し遅くなるけど、それでもいいかな?」
「遅くなるんは全然かまへんけど、寧々ずっと動きっぱなしやない? 休んでからでええよ」

 伊織の言う通り、確かに寧々は家事をしていたので動きっぱなしだ。疲れがないと言えば嘘になる。これもきちんと依頼された仕事なのだから、おいそれと休むわけにはいかないのだ。

「水川累先生のご依頼だし、きちんと仕事を果たしたいの」
「そうはいっても、疲れとるんやろ? 寧々に仕事として依頼したけど、無理して欲しいわけやない。俺のことを想うなら、分かって欲しい」

 こちらを労ってくれる伊織の優しさが心に沁みた。休んではいけないと思っていた固定概念がいとも簡単に崩れていく。支え合うと言っていたのに、これでは先が思いやられる。寧々は反省した。

「ありがとう、伊織さん。休んでから夜ご飯作るよ」
「うん、それでお願いします」

 寧々は食材を冷蔵庫にしまってから、ソファーに横になった。ふかふかしており気持ちいい。三十分ほど休憩してから頑張ろう。
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