京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 寝室で寝ている伊織を起こしに行くと、まだぐっすり眠っているようだった。起こすかどうか迷ったが、伊織が身じろぎしたので起こすことにした。

「伊織さん、朝だよ」
「……もう朝?」
「うん。朝食作ったけど食べる?」
「ほんま? そうやね、食べるわ」

 ベッドからのそのそと起き上がり、伊織は伸びをした。

「寧々、おはよう」
「おはよう、伊織さん」
「朝食作ってくれたんやったね、おおきに。早速食べよか」
「うん」

 寝室を出てリビングに移動する。二人分の朝食が並べられ、伊織は感嘆の声を上げた。

「わざわざおみそ汁作ってくれたん?」
「おかずが欲しかったからね」
「おおきに。ほな、食べよか」

 向かい合って座り「いただきます」と手を合わせて挨拶をする。
 談笑しながら食べ進め、あっという間に食べ終わった。

「昨日はなんも説明できなくて悪かった。原稿は仕上げて最後の確認も終わって、データ送ったところで気分ようなってもうてなあ。寧々見たら抑え効かなくなってん」
「そういうことだったんだ。お仕事お疲れ様です」
「うん、あとは担当者から返信くるのを待つだけや」

 昨日伊織が仕上げた原稿がいずれ本になるのが楽しみだ。水川累のファンである寧々はあらすじを聞きたくなったが、ファンを名乗るのなら弁えておきたい。世に出るまで大人しく待とう。

「今日は時間が空いたから一緒に居よか」
「ほんとう? 嬉しい!」
「どこか行く? それとも、家でゆっくりする?」

 寧々は遊びに行くでもいいし、家でまったりするのもどちらでもよかった。
 しかし、伊織は連日の徹夜で疲れ切っている。そんな彼を連れ回すのは酷だろう。

「今日はおうちデートがいいな」
「ん、分かった。サブスクで映画でも観よか」
「うん」

 こうしてそばに寄り添って一緒に居られるだけで幸せだ。寧々は伊織の腕を組み、そっと頭を預けた。
< 122 / 143 >

この作品をシェア

pagetop