京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜

元彼拓也の襲来

 伊織との交際は順調に進んでおり、幸いなことに喧嘩をしたこともなかった。
 そういえば、拓也とは違憲が衝突する度に言い合いをしていたことを思い出す。喧嘩するほど仲がいいなんて言葉はあるが、人によるのではないだろうか。

 拓也との一件以降共通の友人達なのだが、男子は拓也側に、女子は寧々側についた。そのせいで男女間に亀裂が入ってしまい、なかなか連絡が取れずにいた。男友達は縁が切れても仕方ないと思うが、女友達は失いたくない。

 久しぶりに連絡すると、友達は寧々の様子を伺っていたようだった。何度か食事に誘われていたが、拓也のことを思い出してしまい断っていたのが申し訳なく思う。

 新しい恋人ができて幸せにしていることを伝えると、今元気にしているのならと、きな臭い話を教えてくれた。
 どうやら拓也は浮気相手の女性とうまくいっていないらしく、寧々の様子を知りたがっているのだそうだ。
 今更何をしたいのか疑問に思うが、寧々はもう切れた人と繋がる気はなかった。

 ──そんな風に思っていたのに。

「どうして今更連絡なんかしてくるの?」

 寧々の視線の先にはスマホの画面が照らされている。誰かからメッセージが届いたとスマホを見れば、相手はブロックされたいたはずの拓也からだったのだ。
 寧々はこの男に言い返してやろうと何件かメッセージを送っていたのに、それら全て無視して「話がある」と自分勝手に送ってきたのだ。
 寧々はとりあえず既読だけつけて無視をすることにした。返信する義理はないし、何より今は伊織がいる。彼を大切にしたいし、馬鹿なことをした男なんてもう知らない。
< 123 / 143 >

この作品をシェア

pagetop