京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 寧々より若い女の子、ユリを妊娠させたので結婚するはずだったのだが、それはユリのついた嘘。ユリは恋人がいる女から男(拓也)を奪いたくて嘘をついたのだ。

 拓也はユリから流産したと告げられて安くない堕胎費用を渡し、泣いている彼女を慰めた。
 それからというもの、度々お金をせがまれることがあったが、用途を聞くとさめざめと泣いて誤魔化すのだという。
 そんなやり取りが数ヶ月続き、金銭的に厳しくなってきた拓也はやんわりと断った。
 すると、拓也が驚くくらいヒステリックになって暴れ、お金を渡さないと癇癪が治らないのだそうだ。

 それが続き段々嫌になってきた拓也は、肌身離さず持ち歩いているスマホをたまたまユリがトイレに行ったタイミングでメッセージの通知が来たことにより画面が明るくなってやり取りが見えてしまったことがきっかけだという。
 そうして、拓也は騙されていると気づきその場でユリに別れを告げた。


「なあ寧々、俺達もう一度やり直そう」
「無理だよ、私真剣に付き合ってる人いるから」
「はあ? 俺と別れてからそんなに経ってないのに、もう別の男と付き合ってんのかよ」

 どこまでも自分本位な拓也に腹が立った。そっちは寧々と付き合っている時に浮気したくせに、なんて言い草をするのだ。

「そんなの拓也に関係ないじゃん! 伊織さんは拓也と違って誠実だし、ちゃんと私を愛してくれてるの!」

 伊織という人がいかに誠実かを説いていると、来客を告げるピンポンが鳴った。おそらく伊織だろう。

「こんな時間に誰だよ」
「それをあんたが言う?」
「う、それは……」

 丸穴で確認するとやはり伊織だったので、寧々は玄関を開けて迎え入れた。

「夜分遅くに悪い。……で、そこの彼が拓也くんね」
「あんた、誰だよ」
「俺は寧々の恋人や。よろしゅう」
「あんたが?」

 拓也もイケメンと称される部類に入るが、伊織は別格だ。誰が見ても美男子と答える美しさがある。すらっと伸びた手足に高い身長、艶のある髪の毛に切れ長の瞳。改めて見ると、あまりの美男子っぷりに惚れ惚れする。
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