京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 寧々はベッドにダイブして、くすぶる気持ちをどこかへと押しやりたくて眠ろうと目を瞑った。そこで化粧を落としていないことに気づき、のろのろと身体を起こして洗面台へ行こうとしたら、スマホに通知音が鳴った。
 もしかしたら、伊織かもしれない。逸る心に寧々はバッグからスマホを取り出すと、送り主はやはり伊織だった。

【寧々ちゃん、こんばんは。今日はほんまに楽しかったで、またデートしような】

 その一文とともに、寧々の写った写真も送られてきた。明るい表情にはここ最近の暗さが見えていなくて、どうやら本当に心から楽しむことができたようで寧々は安堵した。

『こちらこそ楽しい時間をありがとう。清水さんの写真も送るね』

 そう返して写真を送るためカメラロールを起動すると、オムライスよりも伊織の方に目が行ってしまった。

 はんなりとした喋り方でおっとりした人なのかと最初は思ったが、そうじゃなかった。けっこうぐいぐいくるのに、自分のことは教えてくれない謎が多い人。

 それなのに、こうして写真を見るだけでまた会いたいと思ってしまうのだから、寧々はもう伊織という人に惚れているのだ。

「……本当に、いけず」

 寧々は伊織が写った写真をタップして、送信した。すぐに既読がついてありがとうのスタンプが送られた。寧々もありがとうのスタンプを送り、やり取りは終わる。

 たったそれだけのことだ。
 それでも、伊織が一人になってから今日のことを思い出して写真を送ってくれたということに、寧々は嬉しくて自然と笑みを浮かべていた。
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