京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
「次は何しようか」
「夏祭りといえば、金魚すくいが定番やろ。あそこにあるから行ってもええ?」
「いいよ」

 伊織は屋台のおじさんからポイを二つ受けとり、一つを寧々に渡してくれた。桶も受け取って、二人は金魚すくいを始めた。
 寧々はけっこう得意なので、ポイを破らずに一匹すくうことができた。

「姉ちゃんうまいね!」
「ありがとうございます」
「ほんまや、もう一匹すくったん?」

 伊織は苦戦しているようで、何回か挑戦するもうまくいかずついには破れてしまった。

「なんだ、兄ちゃんは下手だなあ! 彼女の方はすぐすくってたよ」
「ほんまですか?」

 確かに寧々は金魚すくいはうまい方になるのだが、今はそれどころでない。屋台のおじさんに、伊織の彼女として認識されていることの方が問題だった。

「か、かの、彼女って……!」
「ん? 違うのかい?」
「俺達、まだ友人なんです」
「なんだ、そうかい! 今日はデート楽しんでくれよ!」

 寧々のポイがいつの間にか破れていたようで、伊織に指摘されて気づいた。
 店主がおまけに一匹あげようかと言ってくれたが、寧々のアパートはペット禁止だ。伊織はすくっても返すつもりでいたらしいので、寧々もすくった金魚を返すことにした。
 金魚すくいを満喫した二人はそっと屋台から離れる。
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