京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
約四十分ほどしてから来客を知らせるピンポンが鳴った。一応丸穴から確認すると、来客は伊織だったので寧々は鍵を開けて伊織を招き入れた。
「お邪魔します」
「いらっしゃい。お見舞いありがとう、狭いところだけどゆっくりして」
「おおきに。お土産やないけど、一応差し入れ持ってきたわ。これ食べて元気出してや」
伊織はゼリーやスポーツドリンク、果物など買ってきてくれたようで、ビニール袋を渡してくれた。マスクも着用してきてくれたので、本当にそういう些細な気づかいがありがたい。
「わざわざありがとう。でも、朝から何も食べてなかったから、正直助かります」
「やっぱり。風邪やいうてもきちんと栄養のあるもん食べないとあかんよ。さっそくキッチン借りるで、おかゆ作ったる」
「ええ、それはさすがに悪いよ」
「寧々ちゃんのことが心配やから、俺にやらせてほしいんよ」
「清水さん……」
いつもののらりくらりとした態度ではなく、真剣な顔をして言われたら寧々はたじろいでしまう。
「……じゃあ、お任せします」
「はい、任されました」
寧々は深くお辞儀をして、甘えることにした。
キッチンへ案内してフライパンや調味料、冷蔵庫のものは好きに使っていいと伝える。伊織は「おおきに」と言っておかゆを作り始めた。
寧々は再びベッドに戻り横になる。この家に人が来るのはなんだか久しぶりだ。それも、ご飯を作ってもらうこと自体、直近でいつだったかも分からないほど前のように感じる。
伊織の手料理は先月ごちそうになったばかりだが、やはり自分以外の誰かに作ってもらうのは贅沢なことだと思う。
「寧々ちゃん、できたでー」
「はーい」
伊織はおかゆの乗ったお椀とお茶を注いでトレーに乗せて、寝室まで持ってきてくれた。
寧々は身体を起こし、寝室にあるミニテーブルを広げ、トレーを置いてもらう。
クッションをお尻の下に敷いて、腰を下ろし座る。寧々の反対側には伊織が座る。
「そんなに食べられへんおもて、お茶椀によそったんよ。食べられそうならおかわりしい、たくさんあるから」
「ありがとう。いただきます」
「はい、召し上がれ」
湯気が立つおかゆはたまごがゆのようで、ほんのりと黄身が黄色づいている。レンゲでそっと掬い、ふうふうと冷ます。ぱくりと食べればほんのりと塩気を感じるたまごがゆが、口の中で少しずつとけていく。米の甘みが引き出されて、米本来の味わいを楽しむ。素朴な味なのに、おいしかった。
「どうや?」
「おいしい。清水さんは本当に料理が上手だね」
「そうやろ? 俺、自分で作るのも好きやし食べるのも好きなんよ」
「私もそう。なんだか似てるね、私達」
「ふふ、そうやねえ」
似ているからこそ、一歩前に出られないのかもしれない。
風邪を引いているせいかいろんな感情がごちゃ混ぜになってしまい、つい涙腺が潤んでしまう。伊織に迷惑をかけないように、寧々は食事に集中することにした。
「ふう、お腹いっぱい。ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
あれから寧々はおかわりをして満腹になった。熱いお茶はぬるくなっており、それでも渋みがあって食後にはちょうどよかった。
「お邪魔します」
「いらっしゃい。お見舞いありがとう、狭いところだけどゆっくりして」
「おおきに。お土産やないけど、一応差し入れ持ってきたわ。これ食べて元気出してや」
伊織はゼリーやスポーツドリンク、果物など買ってきてくれたようで、ビニール袋を渡してくれた。マスクも着用してきてくれたので、本当にそういう些細な気づかいがありがたい。
「わざわざありがとう。でも、朝から何も食べてなかったから、正直助かります」
「やっぱり。風邪やいうてもきちんと栄養のあるもん食べないとあかんよ。さっそくキッチン借りるで、おかゆ作ったる」
「ええ、それはさすがに悪いよ」
「寧々ちゃんのことが心配やから、俺にやらせてほしいんよ」
「清水さん……」
いつもののらりくらりとした態度ではなく、真剣な顔をして言われたら寧々はたじろいでしまう。
「……じゃあ、お任せします」
「はい、任されました」
寧々は深くお辞儀をして、甘えることにした。
キッチンへ案内してフライパンや調味料、冷蔵庫のものは好きに使っていいと伝える。伊織は「おおきに」と言っておかゆを作り始めた。
寧々は再びベッドに戻り横になる。この家に人が来るのはなんだか久しぶりだ。それも、ご飯を作ってもらうこと自体、直近でいつだったかも分からないほど前のように感じる。
伊織の手料理は先月ごちそうになったばかりだが、やはり自分以外の誰かに作ってもらうのは贅沢なことだと思う。
「寧々ちゃん、できたでー」
「はーい」
伊織はおかゆの乗ったお椀とお茶を注いでトレーに乗せて、寝室まで持ってきてくれた。
寧々は身体を起こし、寝室にあるミニテーブルを広げ、トレーを置いてもらう。
クッションをお尻の下に敷いて、腰を下ろし座る。寧々の反対側には伊織が座る。
「そんなに食べられへんおもて、お茶椀によそったんよ。食べられそうならおかわりしい、たくさんあるから」
「ありがとう。いただきます」
「はい、召し上がれ」
湯気が立つおかゆはたまごがゆのようで、ほんのりと黄身が黄色づいている。レンゲでそっと掬い、ふうふうと冷ます。ぱくりと食べればほんのりと塩気を感じるたまごがゆが、口の中で少しずつとけていく。米の甘みが引き出されて、米本来の味わいを楽しむ。素朴な味なのに、おいしかった。
「どうや?」
「おいしい。清水さんは本当に料理が上手だね」
「そうやろ? 俺、自分で作るのも好きやし食べるのも好きなんよ」
「私もそう。なんだか似てるね、私達」
「ふふ、そうやねえ」
似ているからこそ、一歩前に出られないのかもしれない。
風邪を引いているせいかいろんな感情がごちゃ混ぜになってしまい、つい涙腺が潤んでしまう。伊織に迷惑をかけないように、寧々は食事に集中することにした。
「ふう、お腹いっぱい。ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
あれから寧々はおかわりをして満腹になった。熱いお茶はぬるくなっており、それでも渋みがあって食後にはちょうどよかった。