京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 翌朝。気持ちのいい目覚めで起きることができた寧々は、清々しい気分で支度を始める。
 待ち合わせ時間は駅前に九時なので、軽く朝食も食べた方がいいだろう。昨日の夜ご飯の残りであるポトフをレンジで温める。野菜がしんなりしていて食べやすいし、コンソメ味のスープもおいしい。
 腹八分目にはいかないが、少しでも胃の中に収めたので体調不良になることはないはず。健康を考えてコップ一杯の水も飲んだ。

 メイクもばっちりしたし、服も問題ない。髪はローポニーテールにしてさっくりとまとめた。夏場は髪を下ろしているだけで熱がこもるので、よくまとめて過ごしている。あとは髪留めを付ければいいのだ。

 時刻は八時を過ぎた。帽子を被り、準備万端である。鍵を閉めて家を出て駅まで歩き出す。
 やはり夏本番の暑さはじりじりとしており、まだ朝だというのに気が滅入ってしまう。のろのろと歩きながら駅まで歩いた。

 電車に乗り、待ち合わせ場所まで向かう。相変わらず電車の中はクーラーがガンガンに効いていた。乗った時はとても涼しいのだが、ずっと乗っていると肌寒くなる。

 それから数分もしないうちに電車を降りると、熱風が顔にかかりついしかめ面をした。ねっとした暑さのある風が顔に当たれば誰だってそんな反応をするだろう。

 ガラガラとスーツケースを引き待ち合わせ場所まで行くと、時間前だというのに伊織がいた。いつも寧々より先に来ている伊織はいったいいつから待っているのだろうか。
 寧々に気づいた伊織が小さく手を振る。寧々もそれに返した。

「清水さん、おはよう」
「おはよう。寧々ちゃんは今日もかわええね」
「……嬉しい、ありがとう」

 以前ならからかっているのだと思っていただろうが、今は違う。伊織は自分のことは話さないが、嘘をつかない人なのだと気づいた。
 伊織の気持ちを知っている今ならば、彼の言う「かわいい」が紛れもなく本心なのだということが素直に嬉しいと思う。

「ほな、行こか」
「そうだね」
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