京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 寧々と伊織は新幹線に乗るために移動する。
 東京から京都までおよそ二時間と十分ほどで着くらしい。

 伊織が駅弁を買ってくれると言うが、寧々は軽く朝食を食べてきたことを伝えると、サンドイッチを提案されたので寧々はありがたく買ってもらうことにした。
 伊織はがっつり食べるようで、お肉の弁当を買っていた。
 新幹線のチケットを伊織から受け取り、寧々はスーツケースを引きながら伊織の隣に並んで歩いた。
 どうやら伊織はグリーン車席を用意してくれたようで、スペースに余裕があり広々と使えるのがありがたい。
 寧々を窓側に座らせてくれた伊織に感謝して、二人は腰を下ろした。

「清水さん、何から何まで支払ってもらってすみません」
「そんなん気にせんでええよ。俺が行きたい言うて、それに付き合うてくれたのが寧々ちゃんやしな。俺のわがまま代やとおもて、そのまま奢られてくれへん?」
「それでも、気が引けるよ」

 今回の突発的な京都旅行は、全て発案者である伊織持ちになっている。寧々は伊織と旅行に行くのなら折半すると主張したが、予定の十日ほど前に思い立ったのが伊織なので、諸々高くつくと踏んで伊織持ちとなったのだ。

「うーん、そうやなあ……。そうや、寧々ちゃんはお土産だけ買うてくれへん? それならええやろ?」
「ええ? お土産だけ?」
「やって、他に浮かばへんねんもん」

 何が何でも寧々に財布を出させるつもりはないようだ。仕方ないが、こうなったら伊織の好意に甘えるのが一番いいのかもしれない。

「……分かった、今回は清水さん持ちね。ただし、次は二人で折半するから!」

 次があれば自然と自分も財布を出すようになると思って寧々は言ったのだ。
 しかし、次があるということは、寧々もまた伊織との関係を望んでいるということになる。それに気づいた寧々は訂正しようと思ったが、やめた。
 だって、伊織がとろけそうなくらいの柔らかい微笑みを寧々に向けているのだから。ここで何か言う方が野暮なのだ。

「……清水さんって、そういうところ本当にずるいよね」
「おおきに。褒め言葉として受け取るわ」

 二人は遅めの朝食を食べながら、談笑をまじえ京都までの道中楽しい時間を過ごした。
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