京都弁男子に溺愛されています〜憧れの小説作家は気になる彼でした〜
 十二時前には京都に着き、寧々と伊織は新幹線から降りた。
 京都は過去に来たことがある寧々は、久しぶりの京都に大きく深呼吸する。
 吹き抜けがあり開放感でいっぱいの駅は人で混雑している。観光の人もいれば、ここに住んでいる人もいるのだ。そうして賑わっている古都は人がいるからこそ長く続いているのかもしれない。

「寧々ちゃん、先にホテルで荷物を預けよか」
「そうだね」

 伊織が予約してくれたホテルは、駅から歩いて五分ほどにあるところだった。そびえ立つホテルはエントランスも広く、クラシカルな印象を受ける。チェックインは十五時からだが、受付で荷物を預かってもらい伊織とともに出た。

「観光しよかーって言いたいところなんやけど、まずは寧々ちゃんと一緒に行きたい場所に行ってもええ?」
「いいよ、それが目的だったんでしょう? 観光は明日でも行けるしさ」
「おおきに。ほな、行こか」

 自然と繋がれる手に導かれ、辿り着いたのは花屋だった。

「お花屋さん?」
「ちょっとな。オーダーしてくるから、待っててくれへん?」
「分かった」

 伊織は店員のお姉さんに作ってもらう花束を相談しに行った。寧々はフラワーアレンジメントを見て、心がほっこりする。花は見ているだけで癒されるから好きだ。
 それから十分ほどしてから花束ができた。見た感じ仏花に使われるイメージの多い菊の花があった。ほかにはトルコキキョウやユリ、リンドウやスターチスがあった。華やかな色合いで美しいが、これから行くのはどこなのだろうか。

「寧々ちゃん、行こか」
「うん」

 伊織は詳しくは話してくれない。
 それでも、その場所とやらに寧々を伴って一緒に行くのだから、伊織が普段見せない心の内を見せてくれることに違いなかった。
 家族はみんな元気にしているそうだし、家族以外の近しい人の法事なのだろうか。それならば、服装なども指定されるはずだ。特にそう言ったこともなかったので、マナー違反にはならないだろう。
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