総長の愛が、重すぎる
その隙を、蓮は見逃さなかった。

腹に重い一撃を入れ、拓真の体が大きくよろめく。さらに胸ぐらをつかみ、そのまま壁に叩きつけた。

「ひまりを見るな」

蓮の声は、怒りで低く沈んでいた。

「名前を呼ぶな。近づくな。考えるな」

拓真は苦しそうに息を吐きながら、それでも笑った。

「重いな、おまえ」

「今さらだ」

蓮は拓真を押さえつけたまま、凍るような目で言った。

「こいつは俺のだ」

その言葉に、ひまりは息をのんだ。

胸が苦しいほど熱くなる。

独占欲が強いことも、乱暴なくらいまっすぐなことも、もう知っていた。けれど、こんなふうに感情をむき出しにする蓮を見るのは初めてだった。

拓真は数秒黙ってから、ふっと力を抜いた。

「今日は引く」

蓮は警戒を解かない。

拓真は壁にもたれたまま、ひまりに視線を向ける。今度はさっきより少しやわらかかった。

「でも諦めたわけじゃない」

「てめえ」

蓮がまた前に出ようとした瞬間、ひまりはとっさにその腕をつかんだ。

「もうやだ……」

小さな声だった。

でも、蓮の動きはぴたりと止まった。

ひまりは泣きそうな顔のまま、蓮の袖を握る。

「これ以上、けんかしないで」

その手の震えに気づいたのか、蓮の目から一気に熱が引いていく。
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