総長の愛が、重すぎる
「総長、ここ保健室」

「知ってる」

「離してあげなよ、ひまりちゃん真っ赤」

「……もう少しだけ」

珍しく弱い声で言った蓮に、全員が黙る。

ひまりも、抵抗できなかった。

背中に回された腕は強いのに、どこか震えている気がしたから。

「怖かった」

蓮がぽつりと言う。

ひまりは目を見開く。

「え」

「あいつに取られるとかじゃなくて」

少しだけ間が空く。

「おまえが、俺から離れたくなるのが怖かった」

胸の奥が、きゅっと痛くなった。

こんなに強くて、誰より怖がられる人なのに。

自分の前では、こんな顔をする。

ひまりはそっと、蓮の背中に手を回した。

それだけで、蓮の呼吸が止まる。

「離れないよ」

小さな声で言うと、抱きしめる力がぎゅっと強くなった。

「……ほんとに?」

「うん」

「約束」

「うん、約束」

そのやり取りに、悠真が限界とばかりに机に突っ伏した。

「甘すぎる!」

臣も笑って、律は窓の外を向いたまま耳だけ赤い。湊は静かに咳払いをする。

「そろそろ本当に帰れ」

ようやく蓮が少しだけ体を離す。

けれど手は離さないまま、ひまりの指に自分の指を絡めた。
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