総長の愛が、重すぎる
そんな毎日が数日続いたある土曜日、ひまりは蓮と二人で出かけることになった。

初めてのデート。

待ち合わせ場所に着くと、蓮はもう来ていた。黒のパーカーに細身のパンツというラフな格好なのに、立っているだけで目を引く。

ひまりに気づいた瞬間、その目がやわらぐ。

「遅れてないか」

「ううん、今来たところ」

「よかった」

そう言って近づいてきた蓮は、あいさつみたいにひまりの髪をそっとなでた。

それだけなのに、胸が落ち着かない。

街を並んで歩きながらも、蓮はずっとひまりの手を離さなかった。

店を見たり、甘いものを買ったり、ふつうの恋人みたいな時間なのに、ふとした瞬間に向けられる視線が熱すぎて、ひまりは何度も鼓動を速くする。

そして問題は、昼すぎに入った雑貨店で起きた。

ひまりが棚の商品をのぞきこんでいると、近くにいた同年代くらいの男の子が声をかけてきたのだ。

「それ、人気だよね」

「え、あ……そうなんですね」

少し驚きながら返すと、その男の子はにこっと笑った。

「君、すごい可愛いね。よかったら、他の店も案内しようか」

その瞬間だった。

ひまりの後ろから伸びた腕が、そのままひまりの肩を引き寄せる。

「必要ない」

低く冷えた声に、男の子の顔が引きつった。

蓮だった。

さっきまで普通に笑っていたのに、今は目がまるで笑っていない。

「……彼氏いるんで」

その言い方は丁寧なのに、空気はまったく丁寧じゃない。

男の子はすぐに、すみませんと引き下がっていった。

静かになった店内で、ひまりは恐る恐る蓮を見上げる。

「蓮……?」

「行く」

「え、でも」

「無理」

まただ。

けれど今の蓮は、学校で見せる嫉妬よりもっと危うい。
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