きみの居ない春を、まだ知らない
「ありがとうございます」


玲奈は案内された部屋の前で立ち止まった


ドアの向こうに、湊がいる


八年前まで、何度も会っていた人


毎日のように顔を見ていた人


それなのに、今はドア一枚がひどく遠く感じる


玲奈は一度だけ深呼吸をした


そしてノックした


「どうぞ」


声がした


その声だけで分かった


ドアを開ける


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