孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする
ダルとロンバスを見送ってロブも店に入ってきた。

「ロブありがとう。ロンバスと仲良くなった?」

そう言うとロブは嬉しそうに”ワンツ“と吠えた。

ロブの朝の散歩はシアの役目で、マギーと朝食を食べてマギーを送り出してから行くのだ。

夕方は学校から帰るとマギーが行ってくれる。

雨が降っていなければマギーは自転車に乗って遠くまでロブを走らせるので、ロブもマギーとの散歩が大好きだ。

この大通りはノーフォークケイパックの駅前から真直ぐに伸びていて、中ほどにケイパックキャッスルホテルへの車道が続いている。

シアの店が一番端にあるのだがその距離は二.五キロ以上ある徒歩でゆったり歩くと三十分位だろうか、なかなかに栄えた大きな通りである。

二車線の車道の両側には歩道もあって,ぶらぶらウインドウショッピングしたりするのもゆったりと楽しめる。

その辺の街作りも考えられている。

大通りから一~二本入った通りには、B&Bが何件かある。

民家も多い。キャッスルホテルの敷地内には従業員用の宿舎もありケイパック家はこの一帯を素晴らしい村に作り替えたのだ。

古き良きものはきちんと残している。

例えば街灯は二百年以上も前のランプだろうと思うのだが電気の照明になっているのだ。きっとランプはそのままに照明に作り替えたのだろう。

また大通りはには、アーチになった橋が2カ所架かっていて、その下を綺麗な水の流れる小川が横切っている。

ヒールで歩くには歩きにくいだろうが歩道は石畳になっている。

休憩用のベンチも石つくりだ。

この村を再開発したダルホーガン・クロウ・ケイパック氏は外見だけでなく素晴らしいセンスと先見の明があるのだろう。

お城をホテルに改装するときにこの大通りもまた当たり一帯も再開発したようだ。

この辺りはすべてケイパックコンチェルンの不動産会社の持ち物だったので、新しくきれいになる事に誰も文句はなかったそうだ。

何百年前からある家々も一新された景観に組み込まれていて違和感はない。

むしろそう言う家がある事で景観に深みを加えている。

前からあった店も家も大きく新しくしたいと言う人には融資も出してもらえたようだ。

新しくするにしても景観を守るようにデザインは考えられている。

この村の人は皆ケイパック領主様に感謝していると言う事だ。

隣りに乗馬用の小物やブーツなども取り扱っている馬具ショップのお婆さんのべステイもそう言っていた。

今日ダルが来ていたのに気づいたなら早速やって来て根掘り葉掘り聞かれるだろう。

ベステイはシアの情報源でもあるのだ。

この辺の事なら何でも知っている頼もしい存在だ。

先祖代々この村に暮らす人にとっては、ダルホーガン・クロウ・ケイパックは雲の上の人に等しい存在だそうだ。

シアがここを気に入ったのは、キャッスルホテルと牧場の存在、そしてシアの家の奥に行くと豊かに広がる森の匂いだった。

お土産物屋で見た牧場にいる馬の絵ハガキに湖と森の絵葉書そしてキャッスルホテルの絵ハガキそれらがシアの心に“探していたのはここだ”と語りかけたのだ。
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