孤高の大富豪は優しい魔女に恋をする
ロブはロンバスと一緒に厩舎でお留守番してもらう事になっている。

ロンバスの餌をやりに来てもらう時にロブの餌も与えるようにお願いしている。

ダルとシアはインヴァネス空港からプライべートジェットでロンドンまで向かった。

シアはプライベートジェットに初めて乗ったと言って機内をあちこち探検して“すごい、すごい”を連発していた。

そんなシアが可愛かった。

キャビンアテンダントのボンズも楽しそうにシアを案内していた。

だが、飛行時間は90分ほどでロンドンに着く。

すぐに着いてしまってがっかりするシアも可愛かった。

要するにダルはシアが何をしても可愛くて仕方がないのだと自覚した。

ダルにとって女性がこんなに気になるのは初めての事だった。

今迄ダルによってくる女性は上流階級のすました美人が多かった。

香水をプンプンさせてブランドの服やバッグを身に着けている女達は、見分けがつかない。

“先日のパーテイでお会いしましたわね”と言われても全然記憶にないのだから、あいまいにほほ笑んでごまかすと言うパターンだ。

馬にだって触る事はできないだろう。もちろん乗る事も…

馬の方もそんな香水をプンプンさせた女性はお断りだ。

馬は匂いに敏感なのだ。匂いで人を選別している。

強い香水の匂いなど大嫌いなのだ。

シアはいつも自分で育てたオーガニックの薬草でショップの商品を作っているので、自然な草の匂いと花の匂いがする。

とても清涼で自然なフローラルの匂いがするのだ。

シアの肌の匂いはどんな匂いだろうと、密かに想像してダルは理性を総動員させなくてはいけなかった。

そんなシアの匂いが馬は大好きなのだ。

花から抽出したフラワーエキスを扱う時は必ず手袋をしているようだ。

花のにおいが混じらないように使い捨ての手袋を必ずすると言っていた。

オーガニックのフラワーエキスも馬には嫌われないだろう。

シアは馬をよく知っているので、馬にふれたり乗馬するときにはそんなことにも気を使っている。

だからダルはタバコを吸わない。

タバコは馬が嫌いな匂いの一つだ、喫煙者に近付いた時も移り香は人間には感知できなくても馬は感知する。

そう言う事もシアはわかっているので、ダルも安心してシアを馬に会わせることができるのだ。

ダルはシアしか自分の伴侶になれる人はいないと思っているし、自分が欲しいと思う女もシアだけだ。

でもシアは結婚するつもりはないようだ。

魔女は自分で終わりにするのだと言っていたからだ。

だからその辺の事を解決しなければシアにプロポーズはできない。
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