『もう、好きじゃないことにした』
 その日の夜。

 蓮からメッセージが届いた。

 『今日、なんか元気なかった?』

 画面を見つめる。

 優しい。

 こうやって気にかけてくれる。

 だから、嫌いになれない。

 『大丈夫だよ』

 送信して、スマホを伏せた。

 しばらくして、また通知が鳴る。

 『ならよかった』

 たったそれだけ。

 なのに、涙が出そうになった。

 私はずっと、蓮の「好き」になりたかった。

 でも、三年経ってもなれなかった。

 きっとこれからも、なれない。

 「……もう、やめようかな」

 口にすると、胸が苦しくなる。

 好きなのに。

 まだ好きなのに。

 それでも、もう疲れてしまった。

 明日からは、私から連絡するのをやめよう。

 誘うのもやめよう。

 好きって言うのも、やめよう。

 そうすれば、きっと少しずつ忘れられる。

 そう思った。

 そして私は、最後に一度だけ蓮とのトーク画面を開いた。

 何度も見返した、三年間分のやり取り。

 笑った写真。

 一緒に帰った日のメッセージ。

 私が送った「好き」に、蓮が返してくれた「はいはい」。

 全部、大切だった。

 だからこそ――。

 「もう、好きじゃないことにする」


 そう呟いて、スマホを閉じた。


 この日から、私は蓮を追いかけるのをやめようと決意した。




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