夫が出戻りの幼馴染と「焼け木杭に火がついた」と浮気していたので、そのまま燃やしてしまってもいいですよね?
 だからキスはもちろん、初夜だってない。
 世間で言うところの、白い結婚というものらしい。

 政略結婚になど期待したことはなかったけれど、でもそれでも考えることはある。

 誰かに愛されたかったとか。
 求められたかったとか……。

 贅沢な悩みなのかな、そういうのは。

 こんなにも優しく真面目な人と結婚し、義母からも率先して守ってくれる。
 
 もっと酷い結婚なんて世の中には山ほどあるし、きっと恵まれた方ではあるのだと理解している。

 でも……でも。
 私はこのまま老いて、子どももなく、親の敷いた道だけで生きて行くのかしら……。

「アリア、体調が悪いのかい?」

 私を心配したように、エドワードがこちらをのぞき込む。

「いいえ。ちょっと考えごとをしていただけですわ」

 そう言いながら一気にスープを飲み干せば、どこまでも冷めてしまったそれが味気なく感じてしまった。

< 5 / 26 >

この作品をシェア

pagetop