雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

(きちんと説明できないと、また捨てられる)

 そこまで考えて、いったい誰に、どこに捨てられるのかと自問自答する。
 支離滅裂で、自分でもわけがわからない。

 どうすることもできないような、絶望感が襲ってきた。

(誰か助けて──!)

 心の中で叫んだそのとき、「エノレア!」と大きな声がした。耳をふさいで倒れ込むエノレアの両肩を掴み、顔を覗き込んできたのはレニオスだ。

「何があった! 大丈夫か⁉」

 いつも冷静な彼には珍しく、明らかに焦っている。

「レニ……オス……様……」

 どうしてだろう。彼の顔を見た瞬間に、どっと安心感が押し寄せる。
 
「おい、エノレア! エノレア!」

 必死に呼びかける声に応えることができないまま、エノレアは意識を失った。


   ◇ ◇ ◇


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