雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
 毒入りティーカップ事件の数日後、レニオスはオリバーからここまでに分かったことについて説明を受けていた。

「つまり、倒れた使用人は俺用に用意された紅茶を飲んだということか?」
「はい」

 オリバーは堅い表情で頷く。

 昨日、リリアナとのお茶会で花弁がティーカップに入るトラブルに見舞われたため、レニオスは用意された紅茶に手を付けず、ティーセット一式を下げさせた。ところが、下げた使用人は高級紅茶を口も付けずに捨てるのがもったいないと思い、残りを勝手に飲んだようだ。
 
 その結果、急激な呼吸困難に襲われてその場で倒れ、あの騒ぎになったのだ。その叫び声は庭園のガゼボにいたレニオス達のところにまで聞こえ、何事かと思った。

「ティーセットを用意したのは?」
「青嵐宮で雇っている使用人です。昨日からひとり行方不明になっていたのですが、今朝になって路地裏で倒れて亡くなっているのが発見されました」
「口封じか」

 レニオスはチッと舌打ちする。おおかた誰かから金で買収されるか脅されてしたことだろう。

「その使用人について、徹底的に調べろ。それと……フォレストの件は未だに返事なしか?」
「ありません」

 エドガーは首を横に振る。

(受ける気はないということか?)

 レニオスもフォレストの仕組みをよく知っているわけではないが、仕事を受ける場合はなんらかのリアクションがあると聞く。だが、フォレストがどれくらいで依頼を受けると返事するかについてもよくわかっていないので、単にまだ調整中という可能性もゼロではない。

「返事があるまでは、青嵐宮が自力で調べるしかないな。引き続き、指揮を頼む」
「かしこまりました」

 エドガーは力強く頷いた。
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