雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

 事件の日、悲鳴を聞いてただ事ではないと感じたレニオスとエドガーはすぐに現場へと向かった。途中でオリバーに会い毒物混入のことを聞き、向かった先の部屋で見たのは倒れた使用人の傍らで真っ青な顔をして座り込むエノレアの姿だ。

 エノレアは両耳をふさいで震えており、子供のようにぼろぼろと泣いていた。そして、『私じゃない』としきりに呟いていた。

「誰もエノレアのことなど疑っていない。一体どうしたんだ?」

 レニオスは念のためエノレアの行動もあのあと調査したが、怪しい点は何ひとつなかった。それに、彼女を疑っている者もいなかった。
 なぜあんな風におびえて、しきりに自身の身の潔白を訴えたのかわからない。

(毒を飲んだ人間を初めて見て動揺しただけならよいが──)

 妙に気にかかる。
 レニオスは、エノレアの様子を見に行くことにした。


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