雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!

 エノレアの胸が、じんわりと温かくなる。
 ぶっきらぼうだが、エノレアのことを想ってこそ、休めて言っているのだと感じた。

「承知いたしました。ご迷惑をおかけします」
「迷惑なんて、誰も思ってないから大丈夫だよ。いつもエノレアに助けられてる」

 そう言ったのは、横に座っているオリバーだ。
 目が合うと、オリバーはにこっと笑う。

「そうそう。エノレアはただでさえ、ふつうの新人じゃ考えられないスピードで仕事してるんだから」

 同じ部屋にいた先輩文官たちも相槌を打つ。

「オリバー、先輩……」

 胸がジーンとして、目に涙が浮かびそうになり、エノレアはごしごしと目元を擦る。

(お父さん、私、上司だけじゃなくて先輩や同僚にもとっても恵まれたよ)

 故郷に戻ったら、ガレスに青嵐宮でのことをたくさん話したいと思った。


   ◇ ◇ ◇
< 122 / 138 >

この作品をシェア

pagetop