雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
エノレアの胸が、じんわりと温かくなる。
ぶっきらぼうだが、エノレアのことを想ってこそ、休めて言っているのだと感じた。
「承知いたしました。ご迷惑をおかけします」
「迷惑なんて、誰も思ってないから大丈夫だよ。いつもエノレアに助けられてる」
そう言ったのは、横に座っているオリバーだ。
目が合うと、オリバーはにこっと笑う。
「そうそう。エノレアはただでさえ、ふつうの新人じゃ考えられないスピードで仕事してるんだから」
同じ部屋にいた先輩文官たちも相槌を打つ。
「オリバー、先輩……」
胸がジーンとして、目に涙が浮かびそうになり、エノレアはごしごしと目元を擦る。
(お父さん、私、上司だけじゃなくて先輩や同僚にもとっても恵まれたよ)
故郷に戻ったら、ガレスに青嵐宮でのことをたくさん話したいと思った。
◇ ◇ ◇