雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
「図星だったか?」
「えへへ」
エノレアはぺろっと舌を出して笑う。
もう一度手紙へ目を落とす。
心配している、などという言葉は一つも書かれていない。
それでも、彼が自分を心配していることが伝わってくる。
(ぶっきらぼうで、殿下らしい)
自然と口元が緩む。
わざわざガレスへ手紙を書き、エノレアには黙っていた。
そんな不器用な優しさが、なんだか嬉しかった。
「レニオス殿下ってね、お父さんに似ているの」
「俺に?」
ガレスは怪訝な顔をする。
「うん。ぶっきらぼうだけど、本当はすごく優しい方なの」
「へえ」
「厳しいけど、それは誰よりも国民のことを考えているからだと思うわ。部下にも、自分にも厳しいの」
エノレアはレニオスのことを想い浮かべる。なぜか、胸の内にほんのりと温かさが広がるような、不思議な感覚がした。
「だから、レニオス殿下のもとでずっと働きたいって思うし、レニオス殿下が一緒にいると、すごく安心する」
エノレアは言いながら、少し照れくさくなって笑う。
ふと、ガレスが固まったまま自分を凝視していることに気付いた。