雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
エノレアとの出会いは、ガレスの生活に大きな変化をもたらした。
齢四十近い独り身の男が暮らしていた家に、まだ小さな女の子がやって来たのだから、当然と言えば当然だ。
半裸で家の中でうろつくことは無くなったし、食事も毎日とるようになった。酒の量は減らし、以前より片付けるようになった。
独り身の自由気ままな生活をしていた身からすると少しだけ不自由にはなったが、それ以上に日常が明るくなったので不満はなかった。
朝になると、小さな足音がする。
寝室のドアが開き、エノレアがひょこっと顔を出した。
「ガレスさん、おはようございます」
「ああ」
ガレスは目を閉じたまま、軽く返事をする。
「ガレスさん、起きて! おーきーてー!」
「だー。わかった、わかった! 耳元で叫ぶな」
布団をひっぱぎ耳元で「起きて!」と連呼をするエノレアを、ガレスは黙らせる。
「やっと起きた」
エノレアはしぶしぶ起き上がったガレスを見て、嬉しそうに笑った。
(初めの頃──一年半前に比べたら、随分と子どもらしくなったな)
最初の頃、エノレアは何をするにも怯えていた。
椅子に座っていいか、水を飲んでいいか、トイレに行っていいか。
そんなことまで、いちいちガレスの顔色を窺うのだ。
ガレスはエノレアの以前の暮らしぶりを知らない。
けれど、エノレアのそういうびくびくした態度を見ていれば、碌でもない環境で育ったことは容易に想像がついた。
(それだけここに慣れたってことか)
齢四十近い独り身の男が暮らしていた家に、まだ小さな女の子がやって来たのだから、当然と言えば当然だ。
半裸で家の中でうろつくことは無くなったし、食事も毎日とるようになった。酒の量は減らし、以前より片付けるようになった。
独り身の自由気ままな生活をしていた身からすると少しだけ不自由にはなったが、それ以上に日常が明るくなったので不満はなかった。
朝になると、小さな足音がする。
寝室のドアが開き、エノレアがひょこっと顔を出した。
「ガレスさん、おはようございます」
「ああ」
ガレスは目を閉じたまま、軽く返事をする。
「ガレスさん、起きて! おーきーてー!」
「だー。わかった、わかった! 耳元で叫ぶな」
布団をひっぱぎ耳元で「起きて!」と連呼をするエノレアを、ガレスは黙らせる。
「やっと起きた」
エノレアはしぶしぶ起き上がったガレスを見て、嬉しそうに笑った。
(初めの頃──一年半前に比べたら、随分と子どもらしくなったな)
最初の頃、エノレアは何をするにも怯えていた。
椅子に座っていいか、水を飲んでいいか、トイレに行っていいか。
そんなことまで、いちいちガレスの顔色を窺うのだ。
ガレスはエノレアの以前の暮らしぶりを知らない。
けれど、エノレアのそういうびくびくした態度を見ていれば、碌でもない環境で育ったことは容易に想像がついた。
(それだけここに慣れたってことか)