雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
試験結果に納得がいかないと騒ぎ立てる受験生がいるので、第一級文官試験の結果は全て開示請求できる。しかし、エノレアは特に請求しなかった。
レニオスはしばし沈黙した。
「……お前が首席だ」
「そうなんですか」
「驚かないのか」
「驚いています。もしかして、首席が十人くらいいたんですか?」
「そんなわけがないだろう」
レニオスは眉を顰める。横に立っていたエドガーが吹き出しそうになっていた。
(違うの? でも、随分簡単だったけど──)
エノレアは首を傾げる。
レニオスはぺらっと一枚紙を出す。
「これはお前が描いたのか?」
レニオスが持っていたのは、エノレアの回答用紙だった。全ての解答に赤い丸が付いていた。
そして、解答用紙の端っこには色々な薬草のイラストが描かれていた。その横には、「三日乾燥」だとか「すりおろして混ぜる」とか説明付きだ。
「はい、そうです」
エノレアは頷く。
試験時間が一時間半も余ったので、暇で暇で溜まらなくて描いたらくがきだ。
「え。エノレア、100点⁉ しかも、試験中に落書きしてたの⁉」
横にいるオリバーがびっくりしたような声を上げる。