雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
レニオスは答える。
先ほどエノレアに試験結果について話を振った際、自分が首席だと知っても彼女は全く焦るそぶりを見せなかった。もし不正して満点なのだとしたら、少なからずやりすぎたと焦りを見せるはずだ。
「では、殿下は彼女が実力で満点を取ったとお考えですか? そうだとすれば、すごいことですよ。天才かもしれません」
「天才か。ははっ、確かにな。大いに期待しよう。俺は今日、彼女の父親を部下に欲しいと感じた」
「ああ、あれはさすがにでまかせかと。木こりで暗号も古代語も薬草もわかるなんて、聞いたことないですよ」
「だろうな」
レニオスは楽しげに笑う。だが、だとすれば疑問に残るのは、なぜ父から教えられたなどと嘘をつくかだ。それも、大まじめな顔をして。
「父親から教えられたというのはでたらめだとしても、彼女にそれらの知識を教えた者がいるはずだ。密かに調べられるか?」
「わかりました」
エドガーは頷く。レニオスは改めて経歴書を眺め、背もたれに寄りかかった。
「彼らの配属だが……おまえの直属でどうだ?」
「私の直属部下ですか? 新人では異例ですが……」