雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
宮殿を去ることになった王の兄弟たちの行く末は様々だ。
王都から遠く離れた地方の自治を任されることもあれば、国の中枢に残って王を補佐する役目を拝命することもある。あるいは、反逆因子になると判断されれば全ての権力を没収されたうえで離島に追いやられることもあり得るのだ。
現国王は既に五十歳近い。政権交代は十年以内に行われるだろう。
レニオスが国王になれるのか、例えなれなかったとしても国の中枢で権力を維持できるのか、この男は気になって仕方がないようだ。
そして、いかにレニオスを利用してロングレイン侯爵家の権力をより強固なものにするかについて策略を練っている。
「心遣い、痛み入る。しかし、心配は無用だ。今年は優秀な新人も入ったしな」
レニオスは暗に、「お前には関係ない」と伝える。
「新人については私も噂に聞きました。今年、若い平民の娘が青嵐宮の第一級文官に採用された上に、レニオス殿下の腹心であるレインズ小侯爵の直属に配属されたとか」
ロングレイン侯爵は眉を顰める。
「このことで、白雪宮でなんと言われているかご存じですか?」
「なんと言われているんだ?」
レニオスは先を促す。
「問題の女は、レニオス殿下の市井の愛人であると」