雪山に捨てられた少女、伝説の元最強諜報員に拾われる。無自覚万能令嬢は『普通の生活』をお望みです!
   ◇ ◇ ◇

 ここは白雪宮。主である第一王子のレオナルド・アッシュフォードは苛立っていた。

「なんだ、あの出来栄えは! この無能共が!」

 執務室に怒声が響き渡る。
 所属する文官たちは皆、跪いて頭を下げたままじっとレオナルドの怒りが収まるのを待っていた。

 レオナルドがここまで苛立っている理由。それは、先ほどまで開催されていた御前会議が原因だ。

 御前会議では、五人いる王子たちがそれぞれ治めている地域の状況を国王に報告していく。今日もいつも通りその報告が行われたのだが、青嵐宮のレニオスが国王に褒められ、他の王子たちは彼を見習う様に諭されたのだ。
 これは、レオナルドにとって耐えがたい屈辱だった。

「おい、お前。俺に恥をかかせてどういうつもりだ?」

 レオナルドはたまたま一番近くにいた文官の頭を足で小突く。標的にされた文官は小刻みに震えながら、益々頭を低くした。

「滅相もないことです。レオナルド殿下は我々の頭上に輝く太陽──」
「ならば、なぜあのような出来栄えの物を用意した!」

 最後まで言い終わる前に、レオナルドは文官の頭を思い切り蹴る。その勢いで転がった文官はその場に倒れ、気を失った。

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