世界で1番近い君と、1番遠い初恋
「背……伸びたな。綺麗になったから、最初誰だか分かんなかったよ。」
「幸平こそ。すごく背が高くなって……学年一のモテ男なんだってね。さっき、彼女さんといるの見ちゃった。」
努めて明るく言ったつもりだった。
けれど、その言葉を聞いた瞬間、幸平の顔がぴくっと強張り、痛みに耐えるように拳を固く握りしめた。
「…あいつとは、中学の終わりに付き合い始めてさ。……俺、チャラくなっただろ。呆れたか?」
「ううん。幸平がモテるのは昔からだし……幸せそうなら、よかった。」
『嘘つき』
と、自分の中で心が叫ぶ。
本当は「どうして?」と問い詰めたい。
「私との約束はどうしたの」
と胸ぐらを掴んで泣き叫びたい。
けれど、幸平の表情はどこか壊れそうに脆く、責め立てることすら躊躇わせる異様さがあった。
「瑠華は…向こうで、彼氏とかできなかったのか?」
幸平の問いかけに、私は小さく首を横に振った。
「ううん。一度もできなかったよ。…告白されても、全部断ってたから。」
その瞬間、幸平の瞳に激しい動揺が走った。
「なんで…? 瑠華なら、すごくモテただろ。なんで誰も付き合わなかったんだよ…っ。」
「…どうしてだと思う?」
答えを知っているくせに、私は意地悪な問いを投げかけてしまった。