世界で1番近い君と、1番遠い初恋
「来るなよ……! 俺に構うな! 秋の間ずっと俺を避けてただろ!? なんで今さら追いかけてくるんだよ瑠華……っ!」
「構うに決まってるでしょ! 幸平がこんなに濡れて、泣いてるのに……!」
「泣いてなんかねえよ! 頼むからあっち行けよ……! 俺みたいな最低な奴に関わるな!」
幸平は頭を抱え込み、地声がかき消されるほどの雨音の中で、喉を潰さんばかりに叫んだ。
「お前はバカかよ!? 俺がこの数年間、何してきたか分かってんのか!? お前がいなくなって、一人になるのが死ぬほど怖くて、寂しくて……誰でもいいから温もりが欲しくて、女子を次々に乗り換えて逃げ回ってたんだぞ!?」
胸を突く、幸平の悲痛な叫び。
「誰の手を握ってても、誰とキスしてても……俺の頭の中にはお前しかいなかった! お前以外の女子なんて好きになれるわけないのに、一人で夜を越すのが怖くて他人を利用し続けてたんだ! 泥沼みたいに汚くて、最低で、卑怯なやつが俺の正体なんだよ!」
雨の中、幸平は自分の胸を拳で強く殴りつけながら、ボロボロと溢れ出る涙を流し続けた。
「なのに……なのに瑠華、お前は……っ! 向こうの街で俺との約束を守って、誰からの告白も全部断って、綺麗なまま待っててくれたんだろ!? 夏にお前が告白断ってるのを知って、夏休み明け、お前から顔すら合わせてもらえなくなった時……俺、死にたくなったよ! 自分がどれだけ汚くて惨めか思い知らされた!」
幸平の声が擦り切れ、慟哭に変わる。
「俺には……瑠華の隣に立つ資格なんて最初からないんだ! 星のキーホルダーも、約束も、全部俺が破ったんだ! だから……頼むから俺なんか捨ててくれよ! 最初から出逢わなかったことにして忘れてくれよ……っ!」