愛しのオオカミ
莉奈と別れてそのまま図書室へ向かった美紀は、本の返却をしたあと、隅の本棚へ。
先にいた修に気付くと、思わず立ち止まった。

少し距離のある位置だが、じっと本を読む修の横顔に見入ってしまう。
本を閉じて元の場所に戻す際、美紀に気付いた修。


「……」

「あ…本……リレー…たぶん、まだ変えてもらえるよ…?」

「…押花に関係あるのか?」


その言葉にピタリと固まってしまった美紀の横を、構わず修は通り過ぎた。


(…余計なこと、言っちゃったかな…)


視線を落とした美紀は、予鈴が鳴るギリギリまで図書室に残って、本を読んだ。



教室に戻ると同時に予鈴が鳴り、教員が美紀に続いて入ってきた。
自分の席に戻る際に、亮太が笑顔で美紀へ口を開きかけたが、それすらも気づかないまま俯いて席に着く。


「それじゃあ、教科書の~48ページを…ー」


授業が始まれば、亮太は美紀を気にしながらも前を向いて教員の話を聞いた。
修も特に変わりなく、授業のノートを取った。



六限目の体育の授業では、体育祭に向けたダンスの考案をする時間となった。


「こんな感じで~…で、ここをさー」

「あ、だったら、みんなで移動しながら広がっていくといい感じじゃない?」

「押花ちゃん、真ん中に置きたい!」

「物みたいに言うな。ねー、押花ちゃん」

「あ…はは…えっと、みんなのダンスをしっかり見てもらいたい、かな…はは…」


体育座りをしてぎこちなく笑う美紀は、自分の意見を添えてみる。
他の女子生徒たちは、うんうんと頷いて美紀の意見を汲み取った。


「よし!それじゃあ、みんなを目立たせつつ、押花ちゃんを中央に置こう!」

「ええ!?」

「あはは!いーじゃんそれで!いっそのこと他より目立っちゃおうよ~」


両隣から笑顔で肩や背中を軽く叩かれる美紀は、気持ちがじーんと温まる。


(わー!!これ…!と、友達って感じだ…!わ、わ~!!)


ニヤけそうになる口を必死に堪えつつ、決まった考案から立ち位置の確認や動きをリードする生徒に習った。
リーダーと副リーダーとなった女子二人が、動きを眺めながら小さく唸った。


「…ねぇ…」

「うーん…これは…あれだわ…押花ちゃん、やばい」

「え…!?ご、ごめんね…!私、ダンスとか苦手で…」

「いや…そこがいい!!むしろその動き隠してきたの!?可愛すぎんか!?よし!これは押花ちゃんと数人の選ばれし勇者数人が目立つパートにしよ!!」

「え、え…?」

「押花ちゃん、嫌だったらいっていいかんねー?」

「……や、やる…!!」


周囲の様子を見た美紀は、両手に拳を作って握り、意気込みを見せる。

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