愛しのオオカミ
11話
それからは、時間が来るまで各パートに分かれて練習を行った。
しかし、どうしても美紀のダンスが一拍どころか三拍も合わないことに、担当リーダーが頭を抱える。


「ご、ごめんなさい!しっかり練習するね…!」

「いや~…うん、大丈夫。どこが苦手かわかる…?」

「え…」

「まだ全然時間あるし、わかんないとこあったら教えるから、いつでも言って」

「そうそう!結局は全体で合わせるわけだし、ひとりだけ合わないとか寂しいじゃんね~」

「…ありがとう…」


呆けたままお礼を伝えると、予鈴がなって体育の授業が終わった。
美紀は、更衣室に荷物を持ってすぐに教室へ戻った。

まだ戻ってき始めた男子生徒を見かけると、男子の更衣室となっている、今の教室に入るわけにはいかない。

廊下の隅の壁に寄り掛かって待っているところに、亮太と修が並んでやってきた。


「お。美紀ちゃんだ。着替え…てないね。どしたん?」

「……」

「あ…ほ、放課後、練習しようと思って…このままでいようかなって」


着替えが入ったバッグを握りしめる美紀を見て、納得する亮太。


「なるほどね~。じゃあ、オレもそうしようかな。黒井くんもバトンパスの練習付き合ってくんない?」

「……必要か?さっきできていただろう」

「念には念を!やるからには、ガチで優勝狙うっしょ!」

「体力づくりだね…!」


意気込みを見せてくる二人の圧に押されたのか、修はまたため息を落として、放課後の練習を承諾した。









…ー

校庭に出た美紀は、部活動の準備をする運動部の様子を眺めていた。
比較的男子生徒の多い、野球部やサッカー部が、美紀を見つけると少しざわついている。


「押花さんだよな!?体操服可愛い~」

「マネになってくんないかな~」

「…あれ、黒井くんだよね?一緒にいるのレア…」


スマホの時間を確認していると、後ろから亮太と修がやってきた。


「待たせてごめんね~掃除当番だった~」

「ううん。先生に聞いたら、あっちの芝生の方、使わせてもらえるみたい」

「……」


外用のバスケットコートを超えた芝生の方を指差すと、三人は一緒に向かった。
珍しくも、目立つ容姿の三人が並ぶと、視線を集める。

スタンドに各々の荷物を置くと、ハーフパンツに冬のジャージ姿の亮太に、上下冬ジャージの修、そして上下夏服の美紀が運動場へ降りた。


「よ、よろしくお願いします!!」

「気合い入ってんね〜。じゃあまず、美紀ちゃんの動きみたいから、あっちまで走ってみて〜」

「うん!」


腕を上げて走る準備をする美紀。


(よ、よーい…どんっ)


ひとり合図を出すと、パタパタと走り出してベタンっとこけた。
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