愛しのオオカミ
12話
振り返ると、真剣な眼差しの亮太と視線が合い、言葉を返す前に、二パッと笑われた。
「じゃあ、また明日」
「…明日……」
大きく手を振って、美紀たちと反対方向へ向かう亮太を、修と美紀は見送った。
不思議に思う美紀は、少し考えてみるものの、言葉の意図がよくわからなかった。
(…助けてくれるときみたいな…状況に…ってこと、だよね…?言われるってことは…今よりも気を引き締めなきゃ…!)
修からバッグを受け取りながら、考え続ける美紀。
グッと拳を作って意気込むと、肩に掛かったままのタオルに気付き、首から外すと修に返そうとした。
「…あ、ありがとう…洗って返すね」
「別に、いい」
差し出されかけた美紀の手からタオルを受け取ると、バッグの中に入れて、歩き出す。
追いかける美紀は、修の背中を見上げながら笑って話しかけた。
「く、黒井くんも、今日はありがとう…!」
「……俺は土師の練習に付き合っただけだ。特に何もしてない…」
「アドバイスとか…してくれたよ!あと…あ、体力!体力は大事だってわかって…」
「俺は何もしないっ……っ」
付いてくる美紀に振り返った修は、語気を強めて言い放った。
ビクッと肩が跳ねる美紀を見て、気まずそうに視線を逸らすと、修はまた歩き出した。
一歩あとから、美紀は黙ってついて歩いた。
(…黒井くん…怒ってる…思い当たるのが………ない…けど、私の体力のなさにイライラしてるとか…?)
修の背中を見つめながら歩く美紀は、徐々に顔が俯いていく。
ため息をつく修が、バッグから本を取り出して開いて読み始めるのを見ると、バッグの柄をギュッと握って、電車を待った。
(……久々に、電車が早く来てほしいって…思ったな…)
亮太の言葉や、修の今の態度の意味もわからない美紀は、感じてしまう気まずさに、ハッとした。
(…変なの…前は違うのに……欲張りだ…)
下を向いて眉を寄せる美紀は、自分にムッとしてしまう。
修とは反対にある電光掲示板を見上げると、次の電車まで十数分あったことで、自分の気持ちに対して気恥ずかしさが大きくなった。
「…明日から…が…、頑張ろうね…」
「……」
呟くように修へ投げかけてみた言葉は、二人の間を埋める騒音の壁に遮られたようだった。
(…また…遠くなったな……)
しばらくして、ようやくやってきた電車の扉が開くと、重い足取りで車内へ乗り込んだ美紀。
修と並んで立っていても、車窓に写る修を見ても、視線も合わなかった。
「…また明日ね…」
降りる駅に着くと、小さく挨拶を落として電車を降りた。
そして、振り返って、いまだに本を読み続ける修を見送った。
「じゃあ、また明日」
「…明日……」
大きく手を振って、美紀たちと反対方向へ向かう亮太を、修と美紀は見送った。
不思議に思う美紀は、少し考えてみるものの、言葉の意図がよくわからなかった。
(…助けてくれるときみたいな…状況に…ってこと、だよね…?言われるってことは…今よりも気を引き締めなきゃ…!)
修からバッグを受け取りながら、考え続ける美紀。
グッと拳を作って意気込むと、肩に掛かったままのタオルに気付き、首から外すと修に返そうとした。
「…あ、ありがとう…洗って返すね」
「別に、いい」
差し出されかけた美紀の手からタオルを受け取ると、バッグの中に入れて、歩き出す。
追いかける美紀は、修の背中を見上げながら笑って話しかけた。
「く、黒井くんも、今日はありがとう…!」
「……俺は土師の練習に付き合っただけだ。特に何もしてない…」
「アドバイスとか…してくれたよ!あと…あ、体力!体力は大事だってわかって…」
「俺は何もしないっ……っ」
付いてくる美紀に振り返った修は、語気を強めて言い放った。
ビクッと肩が跳ねる美紀を見て、気まずそうに視線を逸らすと、修はまた歩き出した。
一歩あとから、美紀は黙ってついて歩いた。
(…黒井くん…怒ってる…思い当たるのが………ない…けど、私の体力のなさにイライラしてるとか…?)
修の背中を見つめながら歩く美紀は、徐々に顔が俯いていく。
ため息をつく修が、バッグから本を取り出して開いて読み始めるのを見ると、バッグの柄をギュッと握って、電車を待った。
(……久々に、電車が早く来てほしいって…思ったな…)
亮太の言葉や、修の今の態度の意味もわからない美紀は、感じてしまう気まずさに、ハッとした。
(…変なの…前は違うのに……欲張りだ…)
下を向いて眉を寄せる美紀は、自分にムッとしてしまう。
修とは反対にある電光掲示板を見上げると、次の電車まで十数分あったことで、自分の気持ちに対して気恥ずかしさが大きくなった。
「…明日から…が…、頑張ろうね…」
「……」
呟くように修へ投げかけてみた言葉は、二人の間を埋める騒音の壁に遮られたようだった。
(…また…遠くなったな……)
しばらくして、ようやくやってきた電車の扉が開くと、重い足取りで車内へ乗り込んだ美紀。
修と並んで立っていても、車窓に写る修を見ても、視線も合わなかった。
「…また明日ね…」
降りる駅に着くと、小さく挨拶を落として電車を降りた。
そして、振り返って、いまだに本を読み続ける修を見送った。