愛しのオオカミ
…ー

翌日から、授業でも体育祭に向けて、本格的に取り組みが始まった。
美紀のクラスは、“赤色”の組み色となり、配布されたハチマキを見て、美紀は少しワクワクした。


(今年は…もっと頑張ろう…体育祭…!)


後ろに座る修の様子を気にしながらも、体育祭の準備を手伝ったり、放課後に残って練習したりしていた。


「押花ちゃん、今日の放課後、練習できそう?」

「うん、大丈夫」

「良かった~!じゃあ放課後、ホールに集合ね。パート担当でこれる女子は来てね~」


昼休みに入って、教室から出て行った修を見送ったところで、声をかけられる。
嬉しさから笑みをこぼしながら、莉奈の待つベンチに向かった。

廊下を急ぎ足で進む美紀を見て、呆ける男子生徒や顔を赤らめる女子生徒たちに目もくれずに渡り廊下を進んでいると、バスケをしている亮太が目に入った。
楽しそうに笑いながら汗を拭っているところだ。

オレンジ色のタオルを取り出して、首に掛けているのを見ると、ほっこりした気持ちになる。


(……学校…楽しい…!)


ふふっとひとり笑っていた美紀に気づいた亮太が、笑って手を振って来た。
辺りをキョロキョロしたあと、自分に振っていることに気づいて振り返した。

そして、亮太はそのまま友達に呼ばれてバスケに戻っていく。
笑っていた美紀だが、修のことを思い返しては笑みが消えてしまった。

美紀は、莉奈が待つベンチに着くと声をかけた。


「お待たせしました~」

「ご機嫌じゃーん。そんな美紀に桃ジュース」

「わぁ、ありがとう!どうしたの?」

「報告があります!」


受け取った桃ジュースをさっそく飲みながら、手を挙げる莉奈を見る。


「彼氏できた」

「………んん!?…ほ、ほんと!?おめでとう!!え、え!?誰!?」

「えへへ。バイト先の先輩…大学生だけど、OKもらえたっ」

「良かったね~!…って、私がジュース渡してお祝いしないとじゃん!」

「いいのー。私がしたかったの。幸せのおすそ分けを受け取ってください」


照れたように笑う莉奈を見ると、美紀はまた、ほっこりとした気持ちを抱いた。
同時に、“彼氏”という響きが気になって、お弁当を食べながら、チラッと莉奈へ視線を向けた。


「…ね、好きって思ったのっていつくらいなの?」

「えー…言わないとダメ?」

「聞きたい!」


恥ずかしさを感じたのか、顔を赤らめる莉奈に、キラキラとした目を向ける美紀。
観念したのか、莉奈はニヤけながらも口を開く。
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